この詩を読んでみてほしい。まるで鉄と油の臭いがするようだ。人間を表現するような言葉はほとんど排除され、無機質な機械の重量感と無感情さが詩から伝わってくる、悪魔的に力強いメカニカルな詩。 朔太郎は「通行する軍隊の印象」と書 […]
日は断崖の上に登り憂いは陸橋の下を低く歩めり。無限に遠き空の彼方続ける鉄路の柵の背後うしろに一つの寂しき影は漂う。 ああ汝 漂泊者!過去より来りて未来を過ぎ久遠の郷愁を追い行くもの。いかなれば蹌爾として時計の如くに憂ひ歩 […]
『ニイチェに就いての雑感』は、詩人・萩原朔太郎が「ニーチェ=詩人」という切り口から試みた評論であり、哲学論であり、詩論であり、同時にまたそれ自体が散文詩でもある。この随筆には、朔太郎の種々の芸術観が表れており、彼の作品を […]
当時破滅的な精神状態で生活していた萩原朔太郎が、雑然とした珈琲店で酒に溺れる様子を詠った詩。 坂を登らんとして渇きに耐えず蹌踉として酔月の扉(どあ)を開けば狼籍たる店の中より破れしレコードは鳴り響き場末の煤ぼけたる電気の […]
老婆の絶望 小柄で皺だらけの老婆は、その赤子を見てとても嬉しい気持ちになった。誰もがその子のことを歓迎し、誰もがその子を喜ばせようとした。その可愛い子は老婆のように脆く、老婆と同じく歯も髪の毛もなかった。 彼女は赤子を喜 […]
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