
ジョン・カーペンターの学生時代の自主制作映画である超・低予算SF。
宇宙空間を寂しく旅する4人の乗組員たちが、ちょっとナンセンスな会話をしたり、色々なハプニングに巻き込まれたり、暴走したAIを説得したりするコメディである(図1)。あえて言い表せばカーペンター版『宇宙船レッドドワーフ号』?予算はなんとたった6万ドルだったらしいが、『エイリアン』などで有名なダン・オバノンも参加するなどメンツはやたら豪華である。
さて、この映画を楽しめるかどうかは、ひとえに物語中盤で乗組員たちを引っ掻き回す宇宙ペットを許容できるかどうかにかかっているんじゃないだろうか。私は許容できなかった。

同監督の後の数々の作品然り、『激突!』然り、『キューブ』然り、低予算映画というのは低予算ゆえの演出に、いかに必然性を感じさせてハリボテ感を見せないかが重要なのだが、『ダークスター』ではこの宇宙ペットの出現から猛烈にC級臭が出てしまうので(作りがハリボテ過ぎる)、そこから作品に入り込めなく成ってしまったのだ。まあ予算が予算なので仕方ない気もするが……
それと長編処女作だけあり、やはり全体的にぎこちないという感じはする。会話のノリやラストの展開など、引き込まれる部分もあるが、何を面白さの中心に置きたいのか分かりにくく、ちぐはぐな印象を受けるのである。
カーペンターファンとしてはチェックしておきたい作品かもしれないが、わざわざ他の映画より優先して観る価値があるかと問われれば、私は沈黙する。
見どころ
- 衝撃の宇宙ペットデザイン
- 乗組員を包み込む眼球に悪そうなバリア
- 我思う故にバルス
北米盤 ブルーレイ レビュー

映像:VC-1 / 16mmネガフィルム / 1.78:1
音声:LPCM 2.0ch&5.1ch
言語:英語字幕あり、日本語なし、英語難度は低
備考:2層 50GB / 83分 / リージョンフリー
16mmネガフィルムのVC-1エンコードという珍しいフォーマット。
映像の元が元だけに、解像感は悪く終始DVD並の貧弱なイメージが流れる。音声もLPCMで収録されていること以外、特筆すべき点はない。ファンアイテム。Amazon.comにて1,800円ほどで購入。