『マニアック・コップ』(旧邦題は『地獄のマッドコップ』)というのはB級好きには名の知れた作品で、簡単に言うと警官姿の男が街で次々に殺人事件を犯していくというホラーである。殺人犯の無言ぶり、犯罪行為の理解不能性、そして半ば不死身と思えるほどの耐久力には『ハロウィン』のブギーマンを思わせるものがある(下図)。なお念の為に述べておくと、この殺人鬼はヲタクではなく狂人(maniac)である。

さて、そんな人気殺人鬼のコピーキャット的な存在でもある『マニアック・コップ』だが、『ハロウィン』よりも面白いと感じた。その面白さの要因は、殺人鬼の露出趣味的とも思える「豪快路上殺人」にある。

図:『マニアック・コップ』

この異常おまわりさんは、あまり人目を憚らないのである。演出上、顔を隠すために夜行性ではあるが、交差点のど真ん中で堂々とアベックを担いで放り投げたりする。「ほぉ~ら、こんなに悪いこと始めちゃうよ」とばかりの豪放な殺人ぶりは、このような例えが適切か定かではないが、まるで女子高生の前で下半身を露出するおじさんのようである。警官が殺人を犯しているだけでもショッキングなのに、その一切躊躇を見せないスッポンポンの全力犯罪ぶりに、我々は恐怖と、困惑と、そして一種の奇妙なスガスガしさを味わうのである(まあ何故露出的なのかは、ストーリーとも大きく絡むのだが)。

言ってしまえばこの男の暴走殺人とアクションをひたすら描いた作品なのだが、彼が登場するときに必ず流れるテーマも実に良くできており、フィルムには常にひんやりとした不気味な空気がつきまとう。自分を庇う人間すらも傷つけてしまう制御不能性、決して言葉を交わさない様子から「分かり合えないモンスタ-」として、十分な説得力を以て造形されている。『マニアック・コップ』成功は、そのキャラクターデザインの勝利と言えるだろう。なお顎のしゃくれっぷりを見ればすぐ分かるが、このおまわりさんに立ち向かう男は『死霊のはらわた』のアッシュ役を演じたブルース・キャンベルである。

ブルーレイ UK盤 レビュー

映像:AVC / 35mm撮影 / 1.85:1
音響:LPCM 2.0ch – 16bit
言語:英語字幕のみ / 英語難度は低~中程度
備考:2層 50GB / 85分 / リージョンフリー

私が手に入れたのは、英国で数多くのカルトムービーを手掛けているArrow Video盤で、Amazon.co.ukから送料込みで約1,600円にて入手。ジャケットはリバーシブル仕様となっている。

映像はAVCだが音声はLPCM 2.0chのみ。新規2Kスキャンを謳っているものの、全編にわたりフィルムの細かい傷が残されておりレストアが不完全。ものすごく気になるというレベルではなく、人によってはフィルムっぽさが感じられて許容範囲内と感じるかもしれない程度。それ以外の映像クオリティは時代相応だが、この手の80年代カルトムービーとしてはまあまあ綺麗な方。オーディオは特筆すべき箇所はなく、可もなく不可もなくといった感じ。

とにかく安価にブルーレイ盤を手に入れたかったので、私としては不満はなかった。国内からはHDリマスターを謳うブルーレイ盤も発売されているものの、プレミアがついている。

どうでもいいけど、どのパッケージを見ても、これ見よがしに警官証を突き出しているマニアック・コップが水戸黄門っぽい。

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投稿日時: 2019/09/14 ― 最終更新: 2019/10/06
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