『メン・イン・ブラック インターナショナル』2019年 、日本版ポスター

これはダメでしょう。全編を通して実に器と中身が噛み合ってない。『メン・イン・ブラック』という車に、誤って灯油を注いでしまったような感じ。

今回は本編主演の2人が完全に不在のスピンオフ。ウィル・スミスもトミー・リー・ジョーンズも一切姿を見せず、代わりに若手の男女2人が組織に反抗しながらもエイリアンと戦うのだが、最大の問題はヒロインが「青春」を「ナンセンス」の中に持ち込んでしまっているということである。

テッサ・トンプソン演じるヒロインは、幼い頃に目撃した黒服のエージェントに憧れてMIBに自力で入隊を果たすのだが、これにより彼女はMIBという組織で「青春」を演じる(下図)。「青春」というのは「全力であれ」ということだから、エイリアンの侵略に対して「真面目」に戦ったり追跡してしまう。ところがMIBというシリーズはそもそも「実はエイリアンと人類は共生していて、その秘密を知った者の前には記憶を消去するために黒服のエージェントが現れる……かもね」という都市伝説をモチーフにしたナンセンスな世界観であり、作品自体はその世界で起きる出来事に、常に「不真面目」な態度を取ろうとする。ここが水と油なのだ。

図:『メン・イン・ブラック インターナショナル』2019年

今までのシリーズがウケたのは、作品世界が持ち上げる「大問題」に対し、誰もが「不真面目」だったからなのである。

一方でヒロインは「真面目」だから……普通にSFアクション映画をしようとする。彼女の素振りとか、友情とか、勇気の発揮ぶりとかが「真面目」。ところが作品世界は「不真面目」な態度をとるから、展開が場当たり的でいい加減。ボスキャラは唐突に出てくるし、かなり適当な理由をつけてやっつけられてしまう。この作品は「真面目」になりたいのか「不真面目」になりたいのかが最後まで分からない。結局「お金がかかっているけどプロットが雑なSFアクション映画」という中途半端なポジションに。多分半年後には話の内容を思い出せなくなっている、そんな映画。

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投稿日時: 2019/08/13 ― 最終更新: 2019/09/14
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