投稿日時:2019/05/05
図1:『スパイ・レジェンド』ポスター

ピアース・ブロスナンと言えば、やはり5代目ジェームズボンドのイメージが強いのか、この作品も『November Man』の原型を全く留めない、意味不明な邦題を背負わされてしまった。スパイらしい活動をしているのは恋人の方であり、主人公は単に凄腕の壮年エージェントという感じである。

とにかく「アクション映画」と聞いて連想する、あらゆるお約束(良いも悪いも)をさらい尽くした作品という印象が強い。すなわち華麗なる銃撃戦、激しいカーチェイス、肥えた黒幕、間抜けなCIA、あまり必然性のない大爆発、などである(図2)。

図2:『スパイ・レジェンド』より

この映画を楽しめるかどうかは、ハッキリ言って5代目ジェームズ・ボンドとしてのブロスナンが好きだったかどうか、それにかかっている。この要素を欠くなら記憶に残らない作品だと思う。初のジェームズ・ボンドが彼であったような、私のようなファンであれば、火曜日の夕食後に観ることのできる気軽なポップコーン映画という感じだ。

劇中で何度も「この場合の筋書きは……」などと、メタなスパイ映画を気取る台詞が出てくるが(図3)、この作品自体が実にベタなのは笑うところかもしれない。ピアース・ブロスナンが引退したベテラン・エージェントとして、若き後輩エージェントと対立しながらも道を示す。このくたびれたエージェントは、007を降板したブロスナンにぴったりの役であろう。

図3:『スパイ・レジェンド』より

ロシアとCIAも絡む三つ巴の陰謀戦だが、登場人物の説明が少なく作りが粗い印象を受ける。尋問を受けていたはずの男がいつの間にか豪華なデスクに座ってたり、脚本が尽きた後にも死に損なっていた刺客が敗戦処理的に適当に殺されたりと、大急ぎで作られたプロットという感じがする。あと派手さを出したいのは分かるが、爆発や車のクラッシュが意味もなく発生するのは笑ってしまった(普通に逃げろよw)。ツッコミを入れながら観る映画である。

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