ドイツ最凶の監督、ファスビンダーとは何者か?あとBlu-ray情報

2021/09/25 ・ 映画 ・ By 秋山俊

ファスビンダー監督の『ローラ』のBlu-rayが、なぜか今頃になって日本でも発売した。いや、とても喜ばしいことなのだが、それにしてもなぜこのタイミングで?という疑問は尽きない。来年はファスビンダー没後40年だからだろうか。これで日本でも、晩年の「西ドイツ三部作」は全てソフト化されたことになる。

ファスビンダーとは

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー。ニュー・ジャーマン・シネマで、というよりドイツで、最もデンジャラスな監督。生き方や思想そのものが破天荒だった上に作品も過激で、年間2,3本という狂ったペースで映画撮影し、その多くが退廃的で破滅的、もしくは過剰なほどのブラックユーモアにあふれており、彼にしか生み出せないコカインやニトログリセリンのような劇薬映画であった。

『ローラ』

しかも監督本人もコカインの過剰摂取で37歳で突然死という、ロックスターみたいな刹那的な人生を送り、その存在が知れ渡れば間違いなくカリスマ扱いされるが、残念ながら日本だとマイナー監督扱いである。ツタヤにDVDすら置いてない。日本ではヴィム・ヴェンダース以外のドイツ人監督は冷遇されているのである。

しかしここ数年で『13回の新月のある年に』『第三世代』『ローラ』『あやつり糸の世界』などが日本でもBlu-ray化されており、今になって再評価の機運が高まってきている。が、ディスクは高すぎてマニア以外は手が出せないので、あとは配信を待つのみだ。ちなみに現在唯一、UNEXTでは傑作『13回~』『第三世代』および『ヴェロニカ・フォスのあこがれ』が配信されている。話の分かるオンデマンドだ。

日本以外の国では配信もされているし、Criterionからも主要作品が概ねBlu-ray化されている。私は2年前にフランスでリリースされたBlu-ray Boxセット2つ(リージョンB)を買った。音声ドイツ語、字幕フランス語のみだが、ファスビンダー作品15本で9,000円程度と破格の買い物であった。恐らく世界一安いファスビンダーのBlu-ray Boxだろう。

所持しているファスビンダー作品のBlu-ray。お気に入りはピエロが描かれたドイツ版の『第三世代』(字幕なし。当時、北米版DVDの英語字幕を参照して鑑賞した)

ドイツにもBlu-ray Boxはあるが、収録作品が少ない。日本語版は高すぎる上に、出ている作品が限られている。言語の問題をクリアできるなら、仏版Blu-ray BoxとCriterionで収集すると、最強のBlu-rayラインナップになる。

仏版Boxセットでは1枚に2作品をつめているものの、特典映像を別ディスクに収録したため、本編のビットレートは十分に確保され、ちゃんとロスレス音響にもなっている。と言ってもファスビンダー作品はほぼ全てモノラルだが。

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初版:2021/09/25 ―― 改訂: 2021/09/26

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