『ローグ・ワン』『ハン・ソロ』スター・ウォーズ・ストーリーのレビュー【ラジオ】

2021/03/05 ・ 映画 ・ By 秋山俊
『ローグ・ワン』ディズニー, 2016年

今金曜ロードショーで『ハン・ソロ』っていう、スター・ウォーズ・ストーリーという、ディズニーによる『スター・ウォーズ』のスピンオフシリーズを放送しているみたいなんで、今まで作られたスピンオフ二作品、『ローグ・ワン』と『ハン・ソロ』を軽くレビューしようと思って、今大急ぎで喋っています。

ミリタリー映画としてのスター・ウォーズ

名もなき兵士たち

この二作品については、制作過程とかで色々問題が生じる部分もあったけど、映画としてはどちらも悪くはない、『ローグ・ワン』に関しては、むしろかなり良い出来栄えだと思っていて、先に『ローグ・ワン』から語ろうと思うんですけど、この映画は簡単に言うと、劇場版スター・ウォーズとしては初めて「ミリタリー映画としてのスター・ウォーズ」というのを描こうとした作品、と言えると思います。

これまでのスター・ウォーズというのは、ストーリー的には戦記ものっぽい感じなんですけど、話の内容そのものは神話をベースにしていて、英雄がいかに世界を救うかという話だったから、アクションシーンとかもミリタリーではなく、あくまでファンタジーとかアドベンチャーと呼ぶべきものだったんですよ。

しかも元々宇宙戦メインだから、戦闘が起きても宇宙でぐるぐる回っているのが中心で、現実世界の戦争にあるような、汗臭い男たちが密林でオッスオッス言って、泣いたり笑ったりできなくなるような、そういう泥臭い戦争描写とは無縁だったけど、『ローグ・ワン』っていうのは歴史に名が残らない兵士たちの活躍を描いていて、そういう汗臭い部分を初めて描いたんですね。

『ローグ・ワン』

戦場ドキュメンタリー風の撮影

だからこの映画を観たときに「オッ!」っと思ったのが、物陰に隠れつつ進軍する地上の歩兵たちの背中を追いながらカメラが移動していくシーン。ああいうのがミリタリーっぽいなって感じて。しかも主人公たちはあくまで一兵卒という扱いなので、ルークやハン・ソロみたいに、謎のフィールドで護られていて、カバーに隠れずにバンバン撃ってるのに敵の攻撃が全然当たらない、みたいな現象が起きません。戦えば普通に死ぬし、無茶な作戦の犠牲になることもあって、この辺も本編だと描けないもので良かったですね。

この映画の監督がギャレス・エドワーズっていう、2014年のアメリカ版『ゴジラ』を手掛けた監督で、僕はあの『ゴジラ』は普通に好きだったんですけど、そのギャレス・エドワーズ監督が、『ローグ・ワン』は第二次世界大戦とかベトナム戦争の映画をイメージして撮った、って言ってるんですね。

『ローグ・ワン』

撮影の仕方も戦場ドキュメンタリー風というか、進軍しているシーンとかをとにかく大量に撮りまくって、映画の構成をどうするか完全には決めないで、とにかくカメラ回しまくって大量のショットを撮った上で、最後に編集でそれをつなぐ、という方式で撮ったんですよ。正確に言うと撮ろうとしたんですよ。

奇跡的に成功した『ローグ・ワン』

ただ結論から言うと、このやり方失敗します。大量に撮ったのはいいけど、それを上手くつなぐ作業が膨大になってしまって、完成品を偉い人に見せたら「なんだこれは。作り直せ」ってなって。全体の40%くらいを撮り直すことになっちゃって。だから予告編にあったシーンが完成版になかったりするんですよ。

で、この映画への評価として「前半はタルいけど後半になるほど面白い」っていう意見が、あちこちで言われていて、自分が耳にしたレビューだとほぼ全部がそう言ってるんですけど、実は撮りなおした部分っていうのが後半に集中しているんですね。だから最初に作られたバージョンは、「やっぱ問題あったんじゃないの」って思いますけど。助っ人に来た脚本家の人がよかったのかな。まあ今となっては推測しかできませんけど。

実際にこの映画、最初の展開がだるいです。40分くらいまであまり盛り上がらない。そもそも、主人公の父親と父親同然みたいな人物が2人いるんだけど、あれ片方の育ての親みたいなのは、話がややこしくなるだけだから別にいらないような気もするし、前半はなんか無駄が多い気がして。後半1時間は面白いから、まあそのための前座だと思って、前半は軽めに観た方がいいかなって思います。

世界観を上手く広げたスピンオフ

他に『ローグ・ワン』でいいのは、『スター・ウォーズ』に東洋的な雰囲気を本編よりも濃く入れてきていることと、旧三部作の世界にちゃんと繋がっているような世界観の描写があること。主人公たちのチームに座頭市みたいな盲目の戦士が加わって、その人がなんか独り言みたいに「フォースは我と共にあり」みたいなことをブツブツ言ってるんですよ。なんかこの得体の知れない感じが、最初の頃のスター・ウォーズにあった、フォースの神秘的な感じが蘇っている感じがして、そういうリスペクトが感じられて良いなって思いましたね。しかもこの人目が見えないから、余計神秘的で。

『ローグ・ワン』

あと世界観がちゃんと描けているっていうのは、これはもう1つのスピンオフ映画の『ハン・ソロ』に欠けている部分だと思うんですけど、CGIで蘇った帝国軍のターキン総督が出るっていうのはもちろん、デス・スターとかスター・デストロイヤーとか、それと戦う反乱軍とか、旧三部作の雰囲気を再現したシーンが何度も出てきて、ちゃんと『スター・ウォーズ』の話の一部なんだなって感じがするんですよ。

キャラクターで言うと、K-2SOっていう、鹵獲されて反乱軍に味方するように再プログラミングされたドロイドが出てきて、あれが一番良い味出していると思いましたね。プログラムを書き換えられた影響で思ったことをすぐ口に出す性格になってしまっているっていうのも個性的だと思ったし。コミカルなところもあるし、憎めない感じ。このドロイドの最後の戦いの様子もすごい良くて。僕は映画を観ていてエモーショナルになることはあまりないんですけど、このドロイドのあの場面だけは結構、グッときましたね。

『ローグ・ワン』

『ハン・ソロ』の二次創作感

だから『ローグ・ワン』は、総評としてはかなり良い。逆に『ハン・ソロ』は、まあ観て損したとは思わないし、普通の映画として考えればまずまずだと思うんですけど、あんまり『ローグ・ワン』にあったような、スター・ウォーズの世界観との接続というのがなくて、言ってしまうと「ハン・ソロ一味がゲスト出演した他のSF映画」みたいな感じがしてしまう。

アクション映画としてはちゃんと撮れてるんですよ。ハン・ソロの顔がハリソン・フォードと違いすぎる感じはするけど、別に役者自体は悪くなくて。ただ映画に出てくるスター・ウォーズ要素が、ハン・ソロ周辺にしかない、つまりチューバッカとランドーとミレニアム・ファルコンくらいしかない、っていうのが、個人的に一番引っかかった点で。『ローグ・ワン』で旧三部作時代の帝国軍と反乱軍の戦闘機が激突するみたいに、なんかもっと「スター・ウォーズの世界にいるな」って感じが欲しかったですね。

『ハン・ソロ』

あと他にも違和感があったのが、ドロイドの権利というものを主張するドロイドというのが出てくるんだけど、これもなんか、そういうドロイドの権利みたいなのが、劇場版だと今まで全然出てこなかったから、そういう点も含めて、一つ一つはそんなに大きな違和感ではないけど、全部がまとまるとなんか「二次創作」っぽい雰囲気が強くなっている気がして。

『ローグ・ワン』にも二次創作的な雰囲気というのはあったんですけど、あっちは旧三部作の世界に上手く接続しながら描けていたから、スター・ウォーズの世界にいる感がだいぶ出ていたんですけど。『ハン・ソロ』も、たとえば主人公がハリソン・フォードのそっくりさんだったりして、なんかもう少し本編に寄せられていたら、もっと浸れたかもしれないんですけど。

『ハン・ソロ』

だからボク個人の感想としては「悪くもないけど良くもない」って感じですかね。この作品、スター・ウォーズとしては初めて興行的に失敗してしまったんですけど、まあでもスター・ウォーズって関連グッズとかで儲けながらシリーズで売っていく映画だから、長期的に見て別にディズニーは損しないだろうとは思うんですけどね。

そんなわけで、取り急ぎスター・ウォーズ・ストーリーのレビューでした。

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投稿: 2021/03/05 ― 更新: 2021/03/06
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