『空飛ぶギロチン』動画紹介文字起こし

2020/11/16 ・ 映画 ・ By 秋山俊
『空とぶギロチン』

清朝雍正帝治世時代。ここで今まさに、後世まで語り継がれる究極の暗殺術が産声をあげようとしていた。

中国を支配下においていた満州族の皇帝・雍正帝は、漢民族へ厳しい弾圧を加えたことを家臣たちに諌められていた。怒る皇帝は、そのような忠告をした家臣2人の暗殺を決意。

しかし家臣を直接処刑して名声が傷つくことを恐れた皇帝により、側近であるシンは、誰の仕業か分からない暗殺方法を考案するよう命じられる。実現できなければ死刑という、あまりの無茶振りに脳みそを振り絞るシン。そんな彼が広場で雑技団の演舞を見ていたとき、悪魔の知恵が降臨する。

雑技団の技から彼が考案した兵器の仕組みはこうである。まずロープのついたこの新兵器を輪投げの要領で投げてターゲットの頭部にかぶせる。するとすっぽりハマるので、次にロープを引くと、内部で3本の刃が交差することによって相手の首を切断され、生首がガンダムに出てくるジオングの頭部ように胴体から飛び出してしまうのである。

さらに恐るべきことに、この兵器、訓練次第で100歩先からでも相手を捉えられ、一度放たれれば高速回転により、あらゆる武器を弾き防御不能!

こうして究極の珍兵器、空飛ぶギロチンが爆誕したのである。

予想以上の成果に大喜びする皇帝。唯一の落ち度と言えば、こんな暗殺兵器のプロトタイプを、真っ昼間にみんなの前でお披露目したため、暗殺に成功しても誰が犯人なのかバレバレということだけである。

こうして空飛ぶギロチンを使いこなせる暗殺部隊を組織すべく、12人の清朝に絶対服従を誓う男たちが集められた。最初はまるで命中しないが、厳しい訓練を積み、驚異的な速度で命中率を上げていく暗殺部隊。そして彼らの急激な成長の陰には、実は皇帝自らの徹底した内偵とモチベーション操作があった。

たとえば訓練者が見事な成長ぶりを示すやいなや、秒速で飛んでくる褒賞。

「一体誰が……ハッ!」
皇帝「私だ!」

あるいは女がいないのは辛い、と漏らせば、すぐさまデラべっぴんをデリバリー。寝室に帰ったら美女が突っ立っているという、出来杉君な展開に「俺に魅力がありすぎるからだ」と自惚れる訓練兵だが、真実はもちろんそんなはずなく

皇帝「それも私だ!」

ちなみにこの「近世中国のユーゼス・ゴッツォ」こと雍正帝という人物は、康煕帝・乾隆帝と並んで、高校の教科書にも出てくるほど有名な、清朝を代表する皇帝だが、雍正帝は些末な事柄も臣下を使わずに自ら目を通し、朝日の前に起きてきて夕日の後も残業している超実務型の皇帝だったので、本作の人物像はそれを反映しているものと思われる。

さて、ギロチン部隊は半年間の血の滲むような訓練により、ついに壁の向こうからでもギロチンを命中させられるようになった。こうして、どこからともかく防御不能のギロチンを飛ばせる、一国を揺るがしかねないほどの最強の暗殺部隊が生まれたのである。

特訓の成果を発揮し、ついにターゲットの頭部を胴体から射出することに成功したギロチン部隊。しかし民に慕われていた家臣を殺したことにより、ギロチン部隊は皇帝に従う盲目的な服従派と、自分たちの活動に疑問を抱く者たちに分裂していった。そしてマー・トンの盟友であるティエンフーは自責の念からついに発狂し、任務中に奇声を上げるという罪をやらかしてしまい、彼自身の頭も胴体から緊急脱出してしまうこととなってしまうのだった。

ティエンフー暗殺事件によって完全に暗殺部隊への信頼を失ったマー・トンは、部隊と皇帝を非難し、そのせいで清朝に歯向かう危険人物として、命を狙われることとなる。暗殺命令より先に脱走を図っていたマー・トンは、ギリギリのところで脱出に成功。それを追い続ける、元同胞の10人の暗殺部隊。

こうして究極の暗殺術を身に着けた者同士の、ギロチン vs ギロチンという激アツな闘いが幕を開けたのだ。

ここで「そもそもマー・トンは指名手配されている大っぴらな反逆者なのだから、わざわざギロチンなど使わずに、弓でも射ればいいじゃないか」と思う人もいるかもしれない。なぜギロチンをわざわざ使うのか。それを時の皇帝に尋ねれば、こう答えるに違いない。

ギロチンが最強の武器だからだ!

そう、ギロチンに対抗できるのはギロチンのみ。本来防御不能であるはずのギロチンも、ギロチン同士を空中で当てると対消滅させることができるのだ。さらにギロチンを飛ばさず、相手に直接被せてジオングする「ダイレクト・ギロチン」。相手のギロチンに刃物を引っ掛けて、手元に戻したところで自滅させる「秘技・ギロチン返し」など、ギロチンを知り尽くした者同士のバトルは激しさを増していく。

こうして暗殺部隊の刺客を撃退しながら、街のべっぴんと出会って数時間で結婚という無駄のない恋愛をこなし、農村で子供を産んでひっそり平和に暮らすという、ありがちな逃亡人生を送るマー・トン。一方刺客側は刺客側で、褒美欲しさにリーダーの地位を争って内部争いが起こるなどしつつ、暗殺部隊は次第に数を減らしていく。

こうして、物語はついにマー・トンと暗殺部隊の、断崖での最終決戦に至るのだ。果たしてギロチンが飛ばすのはどちらの首か。

さて、この映画で登場したこの空とぶギロチンという武器、首を飛ばすシーンの派手さと絶妙なバカっぽさが受けたのか、その後いくつもの香港映画で登場した定番武器となっている。実はタランティーノ監督の『キル・ビル Vol.1』という映画で、女子高生ボディーガードのGOGO夕張が使っていた武器も、この空とぶギロチンのデザイン・演出を元にしたものである。

本作『空とぶギロチン』はタイトルや小道具に色モノっぽさが強いが、変テコな武器とは裏腹に、物語は王道的でカンフーアクションも入り、100分間飽きさせずに運び切る力を持っている。そのため、ギロチン映画入門の一作としてオススメできる映画である。

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投稿: 2020/11/16 ― 更新: 2020/11/21
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