図1:高瀬志帆『二月の勝者』1巻, 小学館, 2018年

違いないと言っておきながら単なる予想である(笑)。なお途中の展開を微ネタバレしているので注意。

『二月の勝者』に配置された伏線の1つが「誰がジャイアントキリングになるのか」である。それで私はずっと「加藤匠推し」をしている。その根拠は「彼がミラクル下剋上を示唆された最初の存在だから」というのが1つ(図2)。

図2: 『二月の勝者』1巻

加藤匠は、桜花で黒木に、勉強面のポテンシャルを発掘された生徒としては最初の人物である(先に出たサッカー少年の佑星は「親の説得」に近い)。黒木は「鉄オタは地理が強い」とし、社会に異常に偏った成績を残す彼を「こいつは暗記の貨物列車だ」と見抜いて、鉄道をモチベーションにして上位校のパンフレットを渡して加藤親子を引っ張る。この時点で、落ちこぼれのポジションにそぐわない下剋上の可能性が示されている。

「最初と最後が繋がる」というのが、物語構築のパターンの1つである。ジャイアントキリングを巡る伏線が最終的に加藤匠で収束すれば、それは1つの綺麗なたたみ方になるだろう。

ところで4巻で「ジャイアントキリングの可能性は3人に絞られた」と宣言され、5巻で加藤はオメガクラス選抜から漏れてしまった。

図3: 高瀬志帆『二月の勝者』5巻, 小学館, 2019年

この時点で明らかなジャイアントキリング候補生は、選抜に勝ち残った上杉海斗と柴田まるみである。しかし、ここで上杉らがそのままジャイアントキリングをするのは、物語としての意外性に欠ける。そこで最後に残るのが、加藤匠である(二人選ぶとしたら、加藤と柴田かな)。

黒木も次のように述べている。

「しかし二人の躍進はそもそものポテンシャルの高さを阻むものを除いた結果でしかありません。それよりも非常に興味深いのは…」「国語以外ではすべて基準をクリア。惜しかったですね。」

『二月の勝者』5巻

そして次のコマで示されるのは、桜花ゼミナールの予想を突き破る、加藤の圧倒的自習室利用状況(図4)。加藤はいつの間にか「自習室の主(ヌシ)」として吉祥寺校に君臨していたのだ!

図4:『二月の勝者』5巻

シールの貼り方をよく見ると、規定のマスを埋め尽くした後、加藤くんは「シールを斜めに貼ることで紙を突き抜けないように配慮していたが、結局突き抜けてしまった」ことが分かる(描写が細かい!)。

想定外のポテンシャルを秘めた怪物、偏差値新快速、桜花のALFA-X、それが加藤匠なのである。これまでの展開など、トップスピードに乗るまでの助走に過ぎない。私は二月になるまで、加藤匠くんを推していく。

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投稿日時: 2019/07/24 ― 最終更新: 2019/08/31
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