高瀬志帆『二月の勝者』5巻, 小学館, 2019年

『二月の勝者』の夏合宿編が思ったより早く終わってしまって残念である。何故なら塾の夏合宿というのは楽しく、また普段とは異なる熱気を持つものだからだ。

塾の合宿は何故楽しいのか。それは普段は塾構内でしか出会わない塾生たちと「生活」を共有できるからだと思う(下図)。学校で出会う友人とはかなり長時間一緒にいるし、生活圏も近くて放課後に遊んだりできるから、普段からある程度生活を共有している感覚がある。ところが塾での知り合いは色々な場所から来ているし、普段は勉強一辺倒の環境なので、お互いがどんな趣味を持っていて、普段何をしているかもあまり共有されていないのだ。

図:持ち物の内容を見せ合うのは合宿の華(『二月の勝者』5巻)

私は高校受験をした中学三年生のときに、一度だけ早稲田アカデミーの夏合宿に参加したことがある。「絶対に合格するぞー!」という名物シュプレヒコールが飛ぶアレである(今はどうだか知らない)。勉強は確か1日10時間くらいしたと思う。同じ校舎の友人たちとは別クラスになってしまったので、一緒に机を並べることはなかったが「あぁ、こうやって普段と違う場所でなにかに集中するのっていいな」と思った。だから大変ではあったが、辛いとは思わなかった。夜中にみんなで夜更しするのは、やはり定番なのだろう。講師のモノマネを披露したりしてずっと爆笑してて、見回りの先生に何度も怒られた記憶がある。最終日には体力が残ってなくて早く寝るのもマンガと同じ(笑)。

合宿によって学力は向上するか?別に目立って向上しません。2泊3日の詰め込み程度で急激に伸びるほど、普段の勉強がヤワなわけでも、問題が簡単なわけでもない。合宿はあくまで夏期講習の一部に過ぎない。ただ、じゃあわざわざ行く意味がないのか、というとそれは違うと思う。普段とは異なる環境で、異なる校舎の人間同士で切磋琢磨する環境はすごく刺激的だし、受験生の夏の生活というのはルーティン化して単調になりやすいから、合宿がもたらす効果というのは、長期的な視点で見て良いものだと感じた。非日常体験が、後々ジワジワと効いてくる。そういうわけで、合宿好きな塾である早稲アカというのは面白い塾だったし、個人的には行くべきなんじゃないかなと思う。

早稲アカには他にも「正月特訓」というカンヅメコースがあって、これも下位クラス以外はほぼ全員参加が当たり前という感じだった。みんながお正月ムードの中で朝から晩までひたすら校舎に引きこもって入試問題を解かされるのは「何だかとてつもなくハードな特訓をしている!」という気がして、これまた楽しかった記憶がある。金を出した親は大変だったろうけど。

マンガの記事一覧

LINEで送る
Pocket

投稿日時: 2019/07/22 ― 最終更新: 2019/12/01
同じテーマの記事を探す