リヴァイの強さは速度と先読みであり、クーガーは正しかった

「リヴァイは何故あんなにも強いのか?」――『進撃の巨人』読者であるならば、誰しも17回くらいは熟考する疑問である。「リヴァイはリヴァイだから強いのだ」「だってアッカーマンだから」などと設定に丸投げしても仕方ない。『進撃の巨人』は、諫山創が練りに練り上げたプロットの上に構成される1つの仮想世界であり、全てのことには必ず理由があると信じている。

兵長の筋力

まず明確なのは、その短躯からは想像もできないような超人的な筋力である。これは作者のブログでも述べられている有名な事実であるが、彼ら一族は筋力肥大のリミッターが外れているため、通常では考えられない密度の筋肉を搭載しており、従って木製ドア程度なら蹴り一発で構造ごと吹き飛ばせる(図1)。

図1:諫山創『進撃の巨人』21巻, 講談社, 2016年

しかしいくら兵長が超人的なマッチョであろうと、所詮160cmの戦慄の矮人に過ぎないので、巨人から不意にホールドされれば全く為す術がないであろう。

リヴァイが筋力で差をつけるのは、巨人の身体を瞬時に細切れにする腕力や、あとは恐らく立体機動のワイヤーの繰り方とか、次の動作に移るまでの瞬発力といった面である。高密度の筋肉で間断なく動作する肉体は、他の兵士と比較してザクとシャアザクくらいの機動力差を見せるであろう。遅い立体起動なら誰でもできる。新月の夜ならトーマスでも巨人のうなじを斬り落とせる。より優秀なのは通常種よりも走る奇行種。つまり速さこそ有能なのが、 戦闘の基本法則!

しかしそれでもまだ疑問は尽きない。単に腕力や移動速度に秀でていても、数百回にも及ぶであろう巨人戦で常勝を誇れるとは考えにくい。そこでリヴァイの戦闘が細かく描写されたシーンを探し求めると、20巻のジークとの戦いに、リヴァイの対巨人戦の真髄が描かれている気がしたので、詳しく分析してみよう。

vs. 獣の巨人戦に見る強さの秘密

図2: 諫山創『進撃の巨人』20巻, 講談社, 2016年

まず初っ端からいきなり、ジークの手と正面からぶつかっている!(図2)これは普通の兵士なら完全に自殺行為であるが、我らが無敵の兵長はなんと、ジークの腕の周囲を旋回しながら、その背後に抜けるリヴァイ・コプターによって、攻撃をかわしつつ細切れにしてしまう(図3)。

図3: 『進撃の巨人』20巻

これを見て分かることは、なんと十分な姿勢を保っている兵長に対し、巨人の正面からの攻撃が通用しないということである。無論、奇襲によりジークの反応が遅れた可能性、獣の巨人の腕長な構造上、掴む動作が遅いといった幸運もあったかもしれないが、恐らく巨人の腕に正面から突っ込んで返り討ちにできる筋力と技術を有しているのはリヴァイだけである。「少なくとも相手が俊敏でなければ、巨人と正面から戦える」これは単純攻撃がメインの巨人に対して大きなアドバンテージである(みんな正面から戦えないから、あれだけ苦労しているわけだ)。

先読みの速さ

さらにここからがリヴァイの真髄である。片腕を失ったジークはうなじをガードしようとするが、リヴァイは急所を無視して目を潰す。さらに続いて、ジークが「目をやられたのか?!」と驚愕した直後には、既に足を斬っている(図4)。

図4: 『進撃の巨人』20巻

つまりリヴァイの攻撃は常に相手の意識の一歩先を行っており、相手が直前の攻撃を認識した瞬間にはもう次の攻撃に移っているため、防御することができない。そうして自由を奪い、うなじから意識が逸れた直後に急接近、硬質化前に倒すという見事な戦術を披露している。想像するに、このような相手の動作を見越して先読み・誘導する技術はストリートファイト時代に培われたものであろう。

作中のリヴァイは巨人集団であっても、とんでもない速度で殲滅しているのでびっくりするが、「剣」「身のこなし」「相手の動きの先読み」を全て最高レベルで備えたリヴァイは、飛天御剣流継承者並の速度で巨人を倒せるのである。

判断と決断もべらぼうに最速

さらに身体的な速度だけでなく、例えば姿を現したライナーを一瞬の躊躇もなく串刺しにするなど、判断においても迷いが全く見られず最速で行動する。「俺は誰よりも迅速に対応し、戦える。 明日からまたあの地獄が始まってもだ」と述べているように、リヴァイはどんな状態でも即座に戦闘態勢に入れるのでスキがまったくない。

まとめると

  • とんでもない速度と先読みで相手を仕留めるので、攻撃を受けずに最小の体力消費で巨人を倒せる
  • 仮に正面から攻撃を受けるような場面になっても、リヴァイ・コプターで返り討ちにできるセーフティを備えている
  • 決断も恐ろしく速い

以上のような恐るべき速度を併せ持つリヴァイは、接近戦においては完全に獣の巨人の天敵であり(手足が長くて鈍重)、ジークが瞬殺されたのも無理はないだろう。序盤のシーンで「1個旅団並の戦力があるってよ!」っと、サラっととんでもないことが書かれている(1個旅団=数千人規模)気がしたかもしれないが、リヴァイはプライスレスなので、他の兵士の頭数を並べて比較できるような存在ではないのだ。

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投稿日時: 2019/06/04 ― 最終更新: 2019/06/05
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