『嘘喰い』カラカルに学ぶ「リセット仕込み不敗術」

2020/07/28 ・ 漫画 ・ By 秋山俊
迫稔雄『嘘喰い』8巻, 集英社

『嘘喰い』のカラカルは非常に良く出来たキャラで、この人物と嘘喰いの直接対決は作中最高のカードになると思っていただけに、それが結局実現しなかったのは『嘘喰い』での大きな心残りになっている。

さて、カラカルと言えばギース・ハワードが元ネタの”Die yoboo”であり、首が捻転させられることを俗に「ダイヤボーされる」とすら呼ぶわけだが、もう1つの名言が以下である。

私はね、嫌いなんですよ……ギャンブルが…

『嘘喰い』8巻

カラカルの言う「ギャンブルが嫌い」の真意は何か?それは「負ける危険性が少しでもある勝負はしない」「一方的な賭けだけをしたい」ということである。『ジョジョ』第2部のカーズが言うところの「危険を最小限にし!バクチをさけ!」というのと同じ。この点でカラカルの信念は、ギャンブルを積極的に引き寄せる斑目貘とは正反対であると言える。

カラカルのこのスタンスは、ドティ編でのセリフにも如実に顕れている。

いいですか?本当の強者は何も差し出す事なく賭けが出来る者の事を言うのです。

『嘘喰い』22巻

つまり「賭けをして、勝てば成果はちゃんといただくが、負けそうになっても何も出さないよ」という意味。

カラカルのこの言葉は、過去に2度実践されている。1つは埠頭での取引、もう1つは通路での伽羅、夜行丈一との戦いの時である(下図)。

図:『嘘喰い』11巻

この2つの戦いで使われたカラカルの仕込みは、全く同様の手口だ。それは「戦いの前に“場をリセットできる仕込み”を打っておいて、危険を感じたら問答無用で逃げる」というものである。私はこれを勝手に「リセット仕込み不敗術」と呼んでいる。

2つの戦いを思い出してみよう。どちらの戦いでもカラカルは、事前に相手が手を出せないような「援軍」の手招きをしてから戦いに臨んでいた。そして少しでも危険があると見るや、適当に御託を並べて時間稼ぎをして「援軍」を到着させ、戦いを強制終了させてしまったのである。

この場合、無論、自分の暴が相手を圧倒していたなら、カラカルは「援軍」到着前に相手を殺すだけである。勝てるとは限らないが、絶対に敗けない。必勝というより不敗。これが「何も差し出さずに賭けをする」ことの実践。その青写真を常に描いて実行していることが、カラカルという人物の持つ強さだろう。

「敗けそうな場合にだけ発動するリセットボタンの仕込み」は、現実世界でもかなり悪用、もとい応用可能な不敗術であると思う。

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投稿: 2020/07/28
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