こんな人いるか?

人間の「音楽を聴きながら勉強したい」という欲求は昔から非常に強く、Googleのデータを見ても検索数がかなり多い。

まず誰もが考える帰結は「音楽を聴きながらだと勉強効率が落ちる」であって、基本的に勉強中のBGMというのは否定されてきた。「不真面目な人間の発想」だと考えられてきたのである。

だが、最近の研究結果では「いや、必ずしも効率は低下しない」という研究論文や、「むしろ勉強がはかどる」「クラシックが脳に良い影響を与える」など、従来の考えを覆す研究も出てきており「結局どっちだよ」と思った人も多いだろう(→「勉強方法は人それぞれであり「xxしなければ絶対ダメ」はない」)。

勉強中の音楽活用法

さて、こう書くと意外に思われるかもしれないが、実は私も受験勉強中にイヤホンをして音楽を流すことはよくあった。

これにはいくつか理由がある。まず受験期間は勉強場所が図書館ではなくカフェが中心だったためであり、周囲の雑音を消すノイズキャンセラーとして音楽をBGMにしていたこと。

カフェで勉強しているとよく分かるが、基本的に雑音は雑音であり気にならないものの、人間の脳というのは良くできていて「理解可能な言葉」「気になるワード」が自分の耳に入ってくると、それらは雑音から選り分けてちゃんと聞こえてしまう。

例を出すと隣の人の世間話は、周囲のガヤガヤ音の中でも結構聞こえてくる。甲高い声のおばちゃんなら、尚更である。特に午後2時頃からカフェに集団で入ってくるおばちゃんの集団トークはうるさかった。

そこでイヤホン + BGMである(密閉型ヘッドホンでも化)。ここで重要なのは音量を低めにし、またボーカルのいない純粋なメロディを選ぶことである。ボーカルがいても理解できない言語なら問題ない。そしてイヤホンで耳の穴を塞いでBGMを流すと、周囲の話し声はほぼ聞こえなくなる。

このようにすることで、音楽を流していると、むしろ勉強がはかどることを発見した私は、以後日常的に音楽をかけながら勉強するように成った。

勉強に集中していると音楽は聞こえない

またBGMを流すと集中できているかの判断にも使えて、ちゃんと勉強に集中しているときは、イヤホンからの音が意識に入ってこない。長いときはアルバムの始めから終わりまでずっと音が聞こえず、音楽が終わってから「あっ、終わってたんだ」と気づくこともあった。こうなると、勉強がそれだけはかどっていたことを確認できて嬉しかった。

逆に同じ問題でずっと悩んで集中が途切れたりすると、途端に音楽が脳に入ってくる。この状態でリラックスしながら、次第にまた勉強に戻ることもあったし、私にとって音楽と勉強の境目はあまりなかったと思う。

私の周囲の東大生にも、少数派だが勉強中に音楽を流す人はいるし、音楽は使い方次第である。

音楽それ自体に聴き入ってしまうと逆効果

一方で、勉強しなければならないが、勉強している姿勢だけ維持して音楽に逃げたい、という欲求から音楽をつける場合、私は明確に逆効果であると思う。それは結局、音楽を聴きながらの完全な「ながら勉」になってしまうからだ。音楽を効果的に使える人は、勉強と音楽を明確にスイッチできる人だ。

だからどちらかと言うと、勉強熱心な人ほど音楽は活用しやすいのだろうと思う。もともと勉強する気のある人が集中力を保つために音楽をかけるなら、それは使える。イヤホンを使わずとも、クラシック音楽などが流れていると自然と集中してBGMが耳に入ってこなくなる、という人もいるかもしれない。

2011年に発表された“Fast and loud background music disrupts reading comprehension”という海外研究では、音楽の内容の違いによる集中力への影響を調べ、それによると「テンポが速く大音量の音楽」では被験者の読解能力が有意に低下したという。つまり激しいロックやメタル、ポップソングなどは勉強に向かないという結果である。

音楽は活用次第で集中力の増加にも低下にも繋がるので、自分の環境やモチベーションに合わせて上手く利用すると良いだろう。

こんな人いるか?
(柴田ヨクサル『ハチワンダイバー』11巻, 集英社)

勉強がはかどる音楽ジャンルは環境音とクラシック

では勉強に効果的な音楽とは、どのようなものだろうか。

先ほども書いたが、言語が入ってくるとどうしても聴いてしまい集中力を奪われるので、基本的に日本語の含まれない音楽がおすすめである。歌詞なしか、あるいは洋楽である。

この中でも環境音はベスト。環境音を聴きすぎて勉強ができなかったという話を聞いたことがない(いるかもしれないけど)。むしろリラックスできていいと思う。特に都会人にはおすすめ。

クラシック音楽もいい。ピアノでもバイオリンでもいいと思うが、あまり主張の強すぎないものがい。私は趣味でクラシックを普段から聴くが、バッハとかは曲によっては盛り上がり過ぎる(?)からあまり良くないかもしれない。サイトの文章を書くときも、どの曲をかけると集中しやすいかで悩むが、個人的にはモーツァルトのご機嫌な感じの曲(ホテルの朝に聴くようなやつ、K216とか)を低音量で聴くとちょうどいい。

なおモーツァルトと学習能力に関する話題は20世紀の頃からよく聞くが、最近の研究結果によれば「モーツァルトの曲だから特別に良い」というわけではなく、リラックスできるようなBGMなら何でも人間のコンディションに良い影響を与えるという。

ちなみに私は映画ファンなので、映画のサウンドトラックも良く聴いていた。あんまり聴き込んでいるものだと、曲の内容で大体何分経過したのかが分かるので「もうこんな曲まで来るほど勉強していたのか」と思うこともしばしばだった。

最強のBGM学習法

究極の選択肢(?)として英語のリスニングCDを流すという手もある。実際に私はたまにやっていた。これは絶対にサボることにはつながらないので効果的だが、脳が休むヒマがないので結構ハードワークな感じがした。周囲の雑音は英語音声がかき消すし、勉強への集中が途切れると英語シャワーが待っているのである。

このとき、例えば単語帳付属のCDの特定箇所だけを激しくループして一日中聴いていると、その部分の単語は嫌でも覚えてしまう。スパルタ勉強法としておすすめである。

まとめ

  • 周囲の話し声やTVの音、工事の音などが気になる人には効果的
  • 意識を奪われないBGMとして流れていると、余計なノイズを消せる
  • 音楽それ自体に聴き入ってしまう「ながら勉」は逆効果
  • 勉強から逃げたい人は、逃げ口になる音楽はかけない方がいい
  • 洋楽・環境音・クラシック・サントラはBGMとして使いやすい

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投稿日時: 2019/05/26 ― 最終更新: 2019/11/29
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