これまで述べてきた「急所」という概念を念頭に、覚えるべきことをザッと洗い出すと、実は受験で覚えるべきことは見た目より遥かに少ない、という意外な事実が見えてくる。

つまり皆さん、辞書のように分厚い網羅型の参考書に圧倒されて「こんなに覚えるのか!」と気圧されている。見かけに騙されている。それで「自分にはとても無理」と信じ込んで、志望校を下げ、難関大学に挑戦する人間を「あんなに記憶できるなんて、彼らは天才なんだな」と思っている。

ところが難関大学に当たり前のように挑戦し、受かる生徒というのは、どこかでこのような「膨大な量はまやかしである」という真実に気付いた生徒たちで、まやかしの量に騙されて退散したライバルを尻目に「これならナントカいけるかも!」と一念発起、「皆が本質を見誤っているこれは勝ち戦」としゃにむに努力した者たちなのである。

ちなみにこれは、私が東大受験に本腰を入れた理由そのものである。「大勢が勘違いしているから勝てる」と思ったのである。

もちろんそれでも、世界史なんかは結構量がある。しかしその世界史にしたって、基本単語と教科書理解を完璧にしている生徒すらめったにいない。合格点を取る生徒も記憶はまだまばらだが、急所となる事項だけは徹底しているので大事な問題は落とさない。急所に絞ると「全網羅」なんてしなくても合格できる。

これが受験勉強のコツである。「コツ」というのは「骨(こつ)」であって、生物の身体構造を考えてみれば、「骨」が「基礎」であることは自明である。これは言葉遊びとか偶然ではなくて、言葉の成り立ちには昔の人達のメッセージが詰まっているので、調べてみると学びが多い。

「勉強のコツはなんですか?」という質問をする人は、既に答えを持っていて「それだよ、それ!基礎だよ!」と言ってしまいたくなる。必要なことは最初から身近にあるというのも、また1つの教訓。

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勉強の面白さを力説し、学びの意義を考え続ける受験コラム

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投稿日時: 2019/06/18 ― 最終更新: 2019/11/26
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