私は現役の中学・高校時代は社会・世界史が苦手だった。久々に世界史学習を始めたとき、覚えていた唯一の出来事がカエサルの「ブルータスおまえもか!」のセリフだけだったのは衝撃だった(先生が楽しそうに話していて記憶に残ってた)。

これまで一夜漬けだけで乗り切ってきた、赤点ばかりだったという人には、私のように世界史の基礎が全然なく、学習を始めようにも途方に暮れてしまう人は多いと思う。

この段階で「よし、世界史やるか!」と言って「400万年前、アウストラロピテクスが二足歩行を……」から順にテキストを読み始めるのは典型的な世界史学習失敗パターンである。北京原人のあたりは意欲旺盛でも、アメンホテプ4世の辺りで時計が頻繁に気になるようになり、古代ギリシャあたりでいつの間にかYouTubeを観ていることだろう。賭けてもいい。

このような挫折を何度かループすると「古代オリエントや地中海周辺だけは知っているが、それ以後は全然知らない」という世界史苦手人間が生まれる。私の知り合いは、このようなループを繰り返す症状を「北京原人症候群」と呼んでいた。

この段階は参考書を読み始めるレベルですらないし、むしろ読んではいけない。世界史のイメージが全然湧かないので、テキストを読んでも単語や流れが全然頭に入ってこず、学習がまともに進行しないだろう。

人物名も年代も覚えなくていい

この段階の学習者がやるべきことは単純である。

世界史のマンガを読むか、映像学習教材を垂れ流して観る。

これだけでいい。私はこの段階で集英社の「学習まんが 世界の歴史」を用いた。図書館の児童書コーナーへ行って、棚から数冊をさらって閲覧席にドカッと置いてから、黙々と読み始めたのである。

『世界の歴史』文庫版, 集英社

このレベルの学習者はとにかく世界史の基礎が全くないため、テキストの文字を眺めてもイメージが湧かず覚えられない。行き着く先は十中八九“寝落ち”である。そのため、記憶の土壌を作るためにまずイメージが含まれている教材に触れる必要がある。

この段階では人物名も、事件が起きた年も、全く気にする必要はない。

無理に覚えようとしなくていいし、ノートも取らなくていい。何故なら数が膨大だし、記憶の土壌も貧弱過ぎて、どうせ覚えられないからである。ノートなんか作っていたら、この段階で既に膨大な時間がかかってしまう。

色々な人物名が出てくるが、覚えようと努力しないで片っ端から忘れていって構わない。ついでに言えば、マンガやビデオでもいきなり全時代をやる必要はなく、最初はむしろ「5巻まで」とか分割してこなした方が無難である(→「苦手意識は「局所的集中勉強」で消すのがいい」)。これなら世界史に挫折した人も実行できるのではないだろうか?

全体イメージと大雑把な流れを掴むのが大事

最初の学習で1つだけ意識して欲しいのは「これくらいの時代に、この地域で、超大雑把には、こういうことが起きた」という大まかな歴史把握である。

例えば古代ギリシャだったら「それぞれのポリスが戦争をしていて、奴隷とか重装歩兵がいたけど、そのうちペルシアと戦争になった。戦争には勝ったけど、その後で口先だけの政治家がいっぱい出てきて、民主政が腐敗して衰退した」くらいの大雑把な理解でいい。これくらいならメモを作成してもいい。

ある程度勉強が進むたびに、各時代の大雑把な内容を繋げていって、世界がどのように変化してきたのかを軽くイメージできるようになろう。

これくらいのゆる~い学習を積み重ねて、流すような感じで下手に足踏みせずに、まず世界の大まかな歴史の流れだけを把握する。この「歴史の大まかな流れ」こそが、これから行う世界史学習の全ての土台となる。

つまり「世界史が苦手になる理由」で述べたように、記憶に残らない学習というのは文脈やバックグランドのない記憶である。デマゴーゴスという単語に出会った直後に、いくら「ギリシャの民主制を衆愚政治にした煽動政治家をデマゴーゴスと呼ぶ」と繰り返したところで、非常に覚えにくいしすぐ忘れてしまう。

マクロからミクロへ

そこでまず上記のように大雑把な歴史の流れだけを把握し、マクロ的な世界史を把握してから、後でテキストを読み始めたときに「そういえば古代ギリシャって、次第に政治が腐敗して衰弱したんだったなぁ。あぁ、こういう政治家ってデマゴーギスって呼ぶんだ」というように、自分が把握したマクロな「ストーリー」の流れの中に、世界史単語というミクロな要素を徐々に配置していく。これが覚えやすいし、無理がない。

こうして最初に作った大まかなストーリーラインの中に「ペイシストラトス、重装歩兵、アテネ、スパルタ……」といった単語を配置し、重要なものから順番に覚えていく。

マクロからミクロへ。世界史学習では、常にこの視点を大事にして欲しい。

なおマンガで大まかなイメージを作った後も、すぐ読みにくい教科書へ進まずに、先にわかりやすさを重視した参考書で学習するのがおすすめである(→「世界史の教科書での学習は中級者以上向け」)。

これ以降の学習ガイドについては「世界史学習の進め方ガイド」を参照して欲しい。

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投稿日時: 2019/06/11 ― 最終更新: 2019/11/17
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