世界史の知識が全くない状態から、東大模試で偏差値60代後半(他の記述模試では80くらい)まで独学で上げた勉強方法を書く。

世界史学習を0から難関大合格レベルになるまで進める過程でのレベル変遷は、大まかに以下のようになるだろう。

  1. 世界史を全然知らない段階
  2. 世界史の大雑把な流れだけを知っている段階
  3. 極めて重要な単語は暗記しているが、全体がボヤけている段階
  4. 重要単語は大体暗記しているが、細部が曖昧で理解度の濃淡も残る段階
  5. 基本単語を十分に暗記し、論述問題でも点が取れる段階
  6. 基本単語が完璧で、論述問題でも高得点が取れる段階

これは0から世界史学習を始めた私の学習経験を辿ったもので、模試を当初から定期的に受けることで得られた「これくらいの学習量で、これくらいのレベル」という定点観測に基づいている。

一般的な参考書や一問一答を使えば、他の人も大体似た感じになると思う。何故なら世界史学習とは暗記量に比例して成績が上がる科目であり、やることが明確に決まっているからだ。

センター過去問の点数を参考に世界史の学習レベルを測ろう

模試を受けずとも、センター過去問はバランスが良くて実力相当の点数が出やすく、自分の実力を測るためのモノサシとして使える。 解く時間も短くて済むので(慣れると15分くらい)、良質の問題集としてもおすすめである。

受験生の平均は「レベル3」である。センター試験での高得点(85点以上)を取れるくらいの実力が必要な場合は「レベル4-5」を目指し、難関国公立・私大で合格ラインに達するには「レベル5-6」が目標になる。世界史を完全なる得意科目にし、難関大合格者の中でも上位に入りたい場合は「レベル6以上」の領域を目指そう。

以下では、各段階における具体的な勉強方法や参考書、注意点などを述べる。あくまで私の学習意見であり、最終的にはそれぞれの受験生が最適と信じるやり方を実行するのが一番だが、参考にして欲しい。

レベル1「世界史を全然知らない段階」

このレベルは本当に初期の「カエサルって誰だっけ?中国はずっと“中国”って国名じゃなかったの?あっ、ナポレオンなら聞いたことあるよ」というレベル。世界史について完全に未習の領域がある、という場合は、その未習の領域がこのレベルである。

この段階では、いきなりテキストを読み始めると大変挫折しやすく、また理解や暗記も進まないので、まず漫画や映像教材を利用して全体をザッと概観する、という学習方法がオススメである。

この段階では記憶の土壌が極めて貧しく、細かい暗記は試みるだけ無駄……とは言わないが、効率が恐ろしく悪いので、流れを把握するにとどめて人物名や年代は無視していい。世界史の単語暗記にはまず全体の流れの把握が必要であり、その流れの中に各種単語を配置していくと、記憶が無理なく保持できるようになる(→「世界史が苦手になる理由」)。記憶の土壌作りがこのレベルの課題である。

この段階の学習については「世界史の学習を始めるには、まずマンガがおすすめ」に詳しく書いたので参照して欲しい。漫画を読むだけならば、全部読んでもざっと30時間以下で済み(分割するとなお良い)、これだけで「レベル2」に進める。

レベル2「世界史の大雑把な流れだけを知っている段階」

歴史の大まかな流れや大事件をうっすらイメージしているが、単語とかはまだ全然頭に入ってない状態。

ここからはテキストを読みつつ、太字で強調されているような重要な単語に絞って徐々に暗記していく。ただし教科書ではなく、2-4冊くらいに分冊されている詳しめの参考書による学習を推奨する(→「世界史の教科書での学習は中級者以上向け」)。私は『ナビゲーター世界史』を使ったが、河合塾の『青木裕司 世界史B講義の実況中継』も読みやすいと思う。

また基本的に年代をガチで記憶するのは止めた方がいい。年代を暗記する手間を、重要な単語の暗記に費やすべきである。この段階での年代記憶は「16世紀半ばくらい」とか、それくらいの大雑把な把握で十分(→「世界史年代の暗記は重要か」)。

把握しきるのが難しい部分についても、この段階では大雑把な理解でいい。例えば産業革命やフランス革命の流れなど、固有名詞が大量に出てくる上にゴチャゴチャしていて前後関係などが混乱しがちだが、結構細かいことなのでレベル3-4になってから本格的に取り組むべき事項である。

こうしてテキストを数周しつつ、歴史の流れに対する認識の強化と基本単語の暗記を進めるが、まだ記憶の土壌が貧弱で、通史を一度に学習すると、一周する頃には最初の方をかなり忘れてしまう。そのため、単元ごとに学習を区切って、それぞれの部分でテキストを回してから次に進む方が確実である。

この段階ではまだセンター世界史などを解いても「運の良い人がサイコロを振った」くらいの成績しか取れない。が、焦る必要は全くない。今はまだ基礎工事中なのだ。この後、ちゃんとした建物が完成していく。

レベル3「極めて重要な単語は暗記しているが、全体がボヤけている段階」

この辺りが大体の受験生の平均くらいで、センター世界史を解いて50-70点代あたりの領域である。

この学習レベルではまだ記憶の定着は不十分だし、事件の歴史的意義などもよく分かっていないが、それでも世界史学習はこの段階までくれば十分軌道に乗っており、ここから先へ進むのはほとんど時間だけの問題と言える。

レベル3でも基本的にレベル2の学習方法を反復していけばいいが、ここからは理解度の向上や暗記の必要性に合わせて、教科書や一問一答問題集を利用すると学習効率が上がる。ただし細かい用語(具体的には山川の一問一答で星なしのもの)や、細かい年代の暗記には手を出す必要はない。「教科書を無理なく読める」と思った時点で、中心的テキストは教科書に移すべきである。

それとセンターの問題が解け、理解できるようになるので、センター世界史を利用する人は、この段階からセンター過去問を積極的に解いていくと良い。

センターで問われるのは基本的で重要なことばかりなので、問題から逆算して何を覚えるべきかが分かるし、センター特有の問われやすい事項を把握することもできる。センター受験者はここで問われやすいことを把握し、通史学習時もその部分を重点的に読み込むといいだろう。なおセンター世界史は模試でも十分足りるので、演習用の過去問を残すことにはあまり拘らなくていい。

同時に志望校の過去問研究も始めた方がいい。まだ早すぎると思うかもしれないが、この段階から志望校で問われやすい内容、問い方などを理解し、それを踏まえて通史学習の行うことで、学習の質を向上させることができるのだ(→「世界史テキストの学習にも濃淡をつけよう」)。

レベル4「重要単語は大体暗記しているが、細部が曖昧で理解度の濃淡も残る段階」

センター世界史で80点台が見え、取り始める段階である。

この時点ではもうメインのテキストは教科書に移行しているべきで、参考書はサブに回した方がいい。またこの段階からは産業革命やフランス革命の順序のような、厄介な暗記事項についても妥協なく記憶していこう。一問一答も山川の星1つ(第1版や東進基準では星2つ)までは積極的に覚え、文化史も覚えていく。年代も重要なものから抑える。

つまりこの段階は、弱点や曖昧な部分を潰して世界史の得手不得手をなくしていく段階である。

論述問題に立ち向かうための基礎力も既についているはずなので、二次試験で論述を課される受験生は、恐れずに論述問題集や過去問に立ち向かおう。最初は戸惑うかもしれないが、大量の論述問題を「読み込む」ことで、問われやすいポイントや書き方などは分かってくる。このとき「書く練習」は重視しなくていい(→「世界史の論述問題を独学で解けるようになる勉強法」)。

このレベルになれば多くの大学の試験にも対応していけるので「世界史を本試で使える」レベルになっていると言えるだろう。ただし難関国公立や私大の試験においてはまだ心許なく「立ち向かえるが、足を引っ張りやすい」レベルである。東大世界史で言えば得点率50%くらい。

レベル5「基本単語を十分に暗記し、論述問題でも点が取れる段階」

センター世界史で90点台が安定するレベル。従ってセンターでしか世界史を利用しないなら、この段階で世界史学習を深めることは止めにして、あとは試験日程に合わせて記憶をセットし直すだけでもいい。

この時点で教科書は既に何周もしており、教科書を読む速度がかなり加速する。記憶の基盤も十分であり、ちょっと離れた程度では重要単語の記憶を失わず、テキストの読解速度向上も手伝って記憶をすぐに再セットすることが可能になる。

1冊の教科書をやり込んでいる人は、教科書それ自体が頭の中でイメージとして残り、試験中に頭の中でボンヤリと教科書を思い浮かべ、それを手がかりに問題を解くことも可能になるだろう(→「世界史で「教科書を耕す」ことの大きな副次効果」)。

どの大学であっても、このくらいの実力があれば世界史は十分点が取れる科目になっており、難関大であっても高得点に拘らないのであれば、他の苦手科目を補強する方が、本試における全体の点数効率は良くなるだろう。

学習内容自体はレベル4の延長で構わない。基礎は十分なので、比重としては論述問題の読み込みを重視すると良い。過去問を解き尽くして何周もしても、さらに他の論述問題集に手を出してレベル6を目指す。

単語学習は基本単語より、忘れやすい事柄や、若干マイナーな単語の補強を中心とするべきだが、それでも東大・京大を始めとする「難単語を問わない大学」の受験生は、山川一問一答で星1つレベルの単語を覚える必要はない。早稲田や慶応など難関私大で難単語を問われる学部の場合は、この時点から拾っていくといいだろう。

レベル6「基本単語が完璧で、論述問題でも高得点が取れる段階」

センター世界史は97-100点で飽和し、もはやレベルを図る器としては足りず、難関大学でも得意科目として合格を牽引する。駿台や河合塾の難関大模試でも、全国上位クラスに当たり前のように入ることができる。受験世界史としては勉強ストップサインがビカビカ点滅する。

ここまで来ると今度は学習すべき事柄の方が不足するようになり、目ぼしい論述問題集や過去問は解き尽くし、教科書の内容もすっかり身についている。さらなる高みを目指すためには、仕方なく他大学の赤本や模試の過去問論述にあたったり、細かい年代を網羅したり、本試に出るか極めて微妙な難単語も覚えていくことになる(他に覚えるものがないから)。

この段階に到達しても、なお学習を推し進めて高みへ向かう人間は「受験世界史の仙人」と呼べる領域であり、よほどの完璧主義者か、世界史マニアか、探求者か、あるいはただの暇人である。

受験世界史の先へ行く

これを書いている私は、受験後半に「レベル6」に達していたが、勉強したいのに勉強する材料が足りず、仕方なく東大世界史で絶対に出ないような単語を覚えたり、大学レベルのテキストを読んだりして、学習意欲と受験上限の狭間で苦しんでいた。

他にはWikipediaでマニアックな知識も拾い「イブン・スィーナーは空中人間の例を1000年頃には出していたから、デカルトよりよっぽど先行していたな」とか全然受験に関係ないことを考えたり、サルトルやハイデガーの功績を理解するために哲学の入門書を読むようになっていた(もはや世界史の学習ではない)。

レベル6以降の学習は、受験世界史としては過剰学習の領域であり、もはや私がこれ以上助言したり予測できるようなことは存在しない。ここまでレベルアップした人には「よくぞその領域まで……」と言い残し、本稿を締めくくりたい。

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投稿日時: 2019/08/11 ― 最終更新: 2019/11/16
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