受験勉強というのは、なるべく早いうちから志望大学や学部を決定して、受けるべき試験を見定めておくと大きく有利になる。

そして仮決定であったとしても、志望校を定めたとしたら、できるだけ早期に過去問を解いたり、その大学の入試を模した冠模試(東大入試実戦、早大プレなど)を受けた方が有利になる。

わざと敗北しに行く

本格的な勉強を始める前であったとしても、偏差値が全然足りなかったとしても、まだ数学が数IIの途中であったとしても、あるいはあなたが高校1,2年生であったとしても、冠模試があるならなるべく早期に受けるべきである。

もし冠模試がない大学であれば、自分で最新の過去問を1年分解く。これでいきなり、一歩リードできる。目標点は0点でOK。実にカンタンな話である。理想は模試と過去問を両方こなすことだが、面倒なら過去問を解かずに「読む」だけでもいい。

志望校を決めた時点で本番レベルかそれ以上の問題を解けば、もちろんとんでもない大惨敗に終わる。ではなぜ、このような敗北をあえて受け入れにいくのか。

それはその大学を受験するという未来が一気に現実のものとなり、合格までの大まかなルートを確定できるからである。

模試を受けると、それまでボンヤリしていた目標が、急に現実めいて感じられる。また本番でどういう問題が出て、それに対処するために自分がどういう過程を辿るべきかが、ここからぼんやりと見え始めてくる。それによってその後の全ての勉強の質が改善される。それが狙いである。

本番レベル特攻という最強の威力偵察

もちろん合格判定や点数など、全く、毛ほども気にする必要はない。マクドナルドのドナルドの原名と同じくらい、気にする必要はない(ちなみに原名はロナルド・マクドナルド)。点数を取れないことは分かりきっているのだから、D判定だろうがE判定だろうが無視していい。これはただの「威力偵察」だからである。

【威力偵察】
敵方の勢力や装備などを把握するために、実際に敵と交戦してみる事。

Weblio辞書

私は中学生レベルの学力から勉強を始め、数カ月後にすぐさま、河合塾の東大模試を受けた。当然、点数はとんでもなく低く、数学など0点だった。しかしそれが当たり前なので、いたくも痒くもなかった。

こういうときは、むしろ「敗けにきました」と不敵顔でやってきて、必死に問題を解いている他の受験生を尻目に、とくと問題用紙を眺め回し「へぇ、この大学ではこういう問題が出るんだ」と、余裕たっぷりにリラックスするといい。どんな点数を取っても構わないのだから、この戦いは実は「絶対に勝てる」のである。

終わったら、イオンモールでビッグマックでも食べて帰宅しよう。お疲れさまでした。

具体的なイメージが見え、何をすべきか分かる

本番形式の問題に一度でも試験形式で触れると、それが頭に強烈に残り、それ以降問題集を解くときなども「こういう問題が本番に出そうだな」とか「この辺が問われるはずだぞ」という意識が働くようになる。

人間というのはゲンキンな生き物なので「これが試験に出る」「これが入試につながる」と意識すると、自然と注意力が働いて普段より記憶力が良くなる。あなたも学校の先生が「ここは試験に出すから」と宣言した部分などは、それだけで記憶に残ってしまった、という経験がないだろうか。

私の場合だと、まだ数IIの教科書レベルも終わってないうちから東大模試を受け、さらに最新の過去問をいきなり数年分潰した。そして潰した問題を何度も眺め回し、検証して「東大数学にはほぼ必ず確率が出る」「世界史は教科書に全部答えが載ってる」「地理の問題は意外と常識レベル」といったことを突き止めた。

それにより、確率の勉強がはかどって最終的に得意分野になったし、世界史や地理でも難しい参考書や単語集は「こんなの覚えなくていいな」とスルーできた(→「志望校の過去問は「問題集」として早めに解く」)。

つまり早期に本番形式を受けることで、自らの学習スタイルを、その大学に最適化されたものへとカスタマイズできるのである。自分で実感することが大切なので、傾向などを誰かに教えられていても自分の眼で確かめてみた方がいい。

このように早期に本番レベルを体験することには、強烈なメリットがある。もちろん送付された成績表など、すぐ紙ナプキンとして、マクドナルドを食べるときについたケチャップを拭くのにでも使えばいい。成績を気にするというナンセンスに走らなければ、この威力偵察は失敗しない。

模試の場合は受けるのに金がかかるが、良い大学に入ればその後の給料も、社会的信頼も高まるわけだから、まずその大学に入るための偵察が5,000円で実行できれば、こいつはタダみたいなものである。良い買い物である(関連:「鉄緑会の東大過去問は高いか安いか」)。

特にあなたが高校1,2年生なら、どうせ時間には余裕があるのだから、ピクニック気分で模試を受けるなり、ゲームの体験版をプレイするつもりで過去問を触れてみると良いだろう。

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投稿日時: 2019/06/09 ― 最終更新: 2019/11/09
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