これまで「大学受験レベルの数学が難しいと感じる理由」数学の難しさは、実は学習量・演習量の「膨大さ」にあるといった記事で「数学は最終的には量の問題に過ぎない」ことや「得意範囲を少しずつ広げる」ことが重要だという話をしてきた。

しかし数学は積み重ねなので「そんなこと言っても、全範囲苦手だよ!」「どこから攻略すればいいか分からない」といった人も大勢いることだろう。そこで数学を攻略するファーストステップをどこにするか、という問題になる。

安心して欲しいのだが、どんなことでもファーストステップが最難関なのである。あなたにはまだ、なんの手がかりも取っ掛かりもなく、「領土が全て敵陣」としか言えない場所へ攻め込むのだから、最初が一番大変なのである。逆にここを超えれば、後は進むほど自信もつき楽になる。

手薄な陣地から攻めるべし

まず最初の取っ掛かりとして狙いやすいのは「数と式」「場合の数」「確率」「数列」「整数」といった、比較的独立性の高い単元である。問題が複合的になりにくく、他の単元の知識があまりいらない。

陣地のたとえで言えば、この辺は他の敵陣と連携しておらず、攻め込んでも敵の増援がやってこないので、比較的楽に攻め落とせる。こうした手薄な陣地から攻略していき「解ける……私にも数学が解ける!」と自信を深めつつ、徐々に自陣を拡大するのである。

中でも「場合の数」はオススメ。結局、やってることは「数えること」だけだから、小中学生でも頑張れば解ける問題が多い。それでいて「確率」の基礎になり、入試での利用頻度も高い。「場合の数」と「確率」を攻め落とすと、それだけでこの単元がほぼ必出の難関大学の大問が1つ解けることになり、「オレ、確率だけは容赦しねぇから」みたいな謎の自信を抱ける。案外、問題の1つくらいはすぐ解けるようになるのだ。

「場合の数」というと、5C2みたいな順列や組み合わせの公式に拒否反応を持つ人もいるだろうが、ああいうのは「場合の数」の本質的な部分に関係ない。あれは結局、数え方の工夫の1つみたいなものだから。もし「場合の数」や「確率」を、ああいう公式で解く問題だと思っているのなら、それは勘違いである。「場合の数」で重要なのは、あくまでどう数えるか、どう重複を除外するか、といった「数遊び」的な部分なのだ。

手薄な場所の、さらに手薄な弱点から攻めるべし!

それで仮に「場合の数」から攻略するとしても、いきなり単元全体を把握しようとしない方が無難である。問題集の前半だけとか、ゲームっぽい問題だけとか、気に入った解法を使う問題だけとか、ある程度範囲を絞った方が上手くいきやすい。苦手意識が強いときほど、徹底する範囲を絞る方が手堅い。

それでチャート式の類題とか、『大学への数学』の「場合の数」特集号とか、そういったもので理解が進んだ範囲の問題を探して解く。理解ができていることを確認する。理解が不十分なら、再び解答解説をじっくり読む。こうして1つの単元も分割して攻略していくと間違いがない。デカルトの名言「困難は分割せよ」は、全ての勉強に共通する鉄則である。

放物線の接線がウンタラみたいな「座標平面」の問題などは、積み重ね型でいきなり解くことができない。こういった問題は、素直にその導線の最初から攻略して辿っていくことになる。高校数学で言えば「数と式」からである。「数と式」も、結局は式変形のゲームみたいなものなので、ここから積み上げるのは難しくない。ただし中途半端な状態でステップアップすると失敗しやすいので、しっかり得意範囲に変えながら(少なくとも志望校のレベルくらいは)進んでいくべきである。

***

勉強の面白さを力説し、学びの意義を考え続ける受験コラム

『文客堂』の勉強記事のバックナンバーはこちら

LINEで送る
Pocket

投稿日時: 2019/09/04 ― 最終更新: 2019/11/05
同じテーマの記事を探す