苦手科目は、思い込みや失敗体験から生まれる苦手意識が尾を引いて作られる、という話をした。これにより「苦手だ」という意識を持つと簡単に解消することが難しい。

これを克服するための第一歩として私が推奨したいのが「局所的集中勉強」をすることである。私は自分の受験科目の全てでこれを実行にして、最終的に「全科目得意」と呼べる状態に変えて試験を突破した。

特定範囲だけを先行して「超得意」にしてみる

この勉強法では、特定の科目の特定の箇所だけを集中的に勉強する。例えば世界史だったら中国の戦国時代から唐までとか、数学だったら三角関数だけ、ベクトルだけ、といった風に、短期間にその範囲ばかりバカみたいに勉強しまくる。毎日そこだけ5時間とか。

範囲設定は、次の定期試験範囲だけにする、というのも手。決めた範囲以外には絶対に手を出さない。積み上げ型の科目では、自分が分からなくなった部分周辺だけでいい。自信がない科目ほど、範囲は狭く、狭く設定する。勉強量の目安は「その範囲の問題が楽に解けるようになるまで」である。

こうすると短期間に特定範囲を反復するので記憶効率が上がり、少なくともその範囲だけは達人になることができる。考えてみれば分かる。範囲を限定して繰り返すのは、言わば「特定の挨拶だけしこたま反復する」という仕事はじめの訓練みたいなものだから、すぐに「またこのパターンか!さっきから何度もやったよ。答えはこれでしょ」という風に即答可能になる。

私の場合は、東大数学で頻出する座標平面問題だけをある時期、集中的に解きまくり「この範囲ならよほどの難問以外は解ける!」という状態まで達した。

「あとはこれを繰り返すだけじゃん!」という気づき

すると「後はこれを繰り返して得意範囲を広げれば、得意科目になる」ということに気付くのである。つまりここで、「自分はこの科目が得意になれるのか」という質の問題から「あとどれくらい同じ勉強を繰り返せば得意科目になるか」という量の問題へと変化するのである。ここで「自分はこの科目が苦手だ」という思い込みが打ち破れる。あとは時間をかけるだけである。

これは言わば「苦手科目」という戦場へ進出するための橋頭堡(きょうとうほ)を確保する戦略である。橋頭堡というのは、河の向こう側などにある敵陣を攻めるためにまず作る、橋の先の小さな拠点のこと。ここに小さな砦などを設置し、その砦を補給場や退却場に利用しながら、徐々に敵陣深くへと進軍するのである。

苦手科目に切り込んでいくのは、言わば味方のいない対岸の敵陣内部へと進軍するようなもの。だからまずこのような強力な拠点を築いて、なにかあってもそこに立ち返りながら勉強を続けると、自信を持って苦手科目を得意科目へ変えていけるようになる。

ちなみにこの「まず橋頭堡を確保せよ」という戦略は、どんなことにでも応用可能である。例えばビジネスでも、最初はどんなものが当たるか分からないから色々やってみて、感触の良いものが作れたら、そこを「橋頭堡」として重点的に補強し、それに類似した商品やサービスを展開していくのが王道。ぜひ社会に出てからも役立てよう。

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投稿日時: 2019/09/01 ― 最終更新: 2019/11/05
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