世界史の論述問題を独学で解けるようになる勉強法

ナポレオン・ボナパルト (1769-1821)、フランス皇帝
「最も大きな危険は勝利の瞬間にある」「約束を守る最上の方法は約束をしないことである」

単語テストは別に怖くないけど、論述問題はおっかない、どうやればあんな文書けるようになるか分からない、という人がいるかもしれない。もしかしたら、国立大学を受験しない理由の1つは「論述問題が解けるとは思えないから」かもしれない。

世界史の論述問題は単語問題の延長

しかし恐れることは全く無い。「東大は事務処理能力の高さを重視する」でもちょこっと書いたが、論述問題を解くのに特別な技能は必要ないし、まして文章力などという大仰なものは全く求められていないのである。私は最初から最後まで独学だったが、東大世界史でも8割の得点率だった。

論述問題というのは、ほとんど単語暗記の延長に過ぎない。ただ単語の暗記に比べ、その周辺の歴史も含めてより深く、より正確に理解できているかを問うているだけである。つまり論述問題の実体というのは、難易度ハードの単語問題なのである。

論述で問われるのは、結局ある世界史の出来事についての少し詳しい「ストーリー」だったり、歴史的な意義だったりする。つまりこのサイトで散々強調している「ストーリー」を重視した世界史勉強法をしていれば、論述問題を解く基礎というのは勝手に身についてしまう。

論述パターンや教科書の文を記憶するだけ

ではどうやって論述問題を解く方法を身につけるのか?

ズバリ、問題集や過去問の「論述問題の問いと答え」をひたすら「読む」だけでいい。その際には、問題を見てから「大体こういうことを書く」というキーポイントだけ頭の中でまとめておき、わからないようなら悩まずにさっさと答えを見るべきである。

私は論述中心の東大世界史入試を受けたが、「書く練習」は全くしなかった。何故なら「書く」のは疲れるし、時間がかかるし、効率も悪いからだ。

書いていても知識は増えない

世界史は結局知識の多さで勝負が決まる科目である。「書く練習」に多くの時間を費やすと、その時間を知識の充実に回した受験生に対し、純粋な「世界史体力」で敗けてしまうだろう(参考:「世界史は結局、知識量と正確性で勝負が決まる」)。

私が「書く練習」をしたのは模試だけである。普段書かない分、模試だけは大量に受けていた。そして模試では普段の脳内論述練習通りにアウトプットできることを確認し、点数が来ていたのでそれで十分とした。

このように「書く練習」を模試や通信添削だけに集中するのは、集中力も出るし第三者の採点も入るので、オススメのやり方である(ただし難しい漢字だけは練習しておくこと)。模試では最初の頃に「ちゃんと題意に触れないと点が来ないよ」と指摘されたので、それを修正し、以後は何も問題なかった。

「知ってれば書ける」という単純な事実

論述問題に対して「書く主義」を提唱する人がいるが、知らないものは書けないし、知っていれば多少下手でも書けるのである。事実を書くだけだし、美文を書けという話ではないからだ。

論述問題が解けない人は、冷静に考えてみて欲しい。

あなたが失点したのは、単純に「答えを知らなかったから」「題意を勘違いしたから」であって、「上手く書けなかったから」ではないのではないだろうか?

私は世界史論述で得点できないときに生じる「書く練習が足りないからだ」「どうやって書けばいいのだろう」という問いは「偽物の問題」であると思う。

東大世界史第二問のように、少ない文字数で過不足なく書く場合にも、最終的には短くまとめる「フレーズ」や「言い回し」をどれだけストックしているかの勝負。これも書く練習でウンウン唸ってひねり出すより、模範解答を大量に読み込む中で単語を暗記するのと同様に暗記し、模試でそのまま写せばいいだけのこと。

「書く」ことに時間をかけてしまう人は「その時間と体力を別のことに費やした方がもっと伸びるのでは?」と考えよう。文字数の多い大論述(300字以上)でも、軽い構想メモを作り、不安ならたまに練習して添削してもらう、くらいでいいだろう(→「世界史大論述を書くコツ」)。

書いていると「勉強しているぞ」という感じがして安心できるかもしれないが、最終的に問題なのは合格できるかどうか、ということを忘れてはならない。

ちょっと自慢のような話で申し訳ないが、証拠として述べると、私はここで述べたやり方で東大模試の世界史では、駿台でも河合塾でも常に上位2桁に入ることができた。「書く練習をしなくてもトップクラスの成績が取れた」のではなく「書く練習をしなかったからこそ上位に入れた」のである。

書き方は読み込みで身につく

論述問題というのは「こう聞かれたから、こう答える」というパターンが決まっているし、結局のところ「事実」を「正確」に「つなげて書く」だけで点がもらえる。だから教科書や参考書の通史学習と同じ感覚で、問題集や過去問の答えをひたすら読み込んで、「このパターンにはこう答えるのか」「こう問われたら、ここを記述するのがポイントなのか」といった書き方やコツをひたすら身につけていくだけでいい。

また悩んでいても知識は一向に増えず、知らなければ結局問題は解けないので、分からなければすぐ解答を見たほうがいい。

論述の解答解説を読んでいると通史も理解できる

さらに、答案を読みまくる行為を通じて、勝手に通史の理解も進んでしまうのがポイント。つまり論述問題を読みまくるのは、通常の世界史学習も兼ねているのである。

だから「まだ世界史の基礎力が不十分だから……」と、論述問題を読み込むのを後回しにする必要は全く無い。むしろ早めに論述の解答解説を読み込んで「論述問題を解くのに重要な教科書の記述はどれか」といったことを早めに理解しておくと、教科書を読む際の効率も高まる。論述問題を解かねばならない受験生は、早めに「背伸び」して「こういう問題が出るのか」と知るべきである。

「作問者の意図」に気付こう

論述問題を解くには「こういう問い方をしているということは、作問者はあの事件について書いて欲しいということだな」と気付くことも重要。つまり作問者の意図を見抜くことである。作問の意図がわかれば、まるっきり見当違いなことを書く心配はない。

これも「こういう問いには、こういう答え」「ここが頻繁に問われる」というパターンに慣れる過程で身につく。問題はランダムに作られているわけではなく、良質の世界史問題というのは通史の中でも人類への影響が大きい、重大な出来事への理解をできるだけ試したいと考えるものである。

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投稿日時: 2019/09/29 ― 最終更新: 2019/12/01
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