受験の天王山は夏じゃなくて春

モノホンの天王山

「受験勉強は早く始めるほどいい 」の続き。

予備校は「夏が受験の天王山」という、くたびれた文句を相変わらず使っているようだが、これは常識の嘘である。

受験の本当の天王山は春に決まってる。なぜなら、皆が天王山は夏だと思っているからである。

本当の勝負どころというのは、相手が勝負どころだと身構えている一歩手前にある。そここそが、相手を本当に出し抜ける場所だからである。だから春からモリっと勉強して、他の受験生に覆し難い差をつけたまま「ほ~ら、追いつけないだろ~?」と、彼らの先を走り続けるのが戦略的に賢い。

みんなが「さあ、勝負どころだ!」と思ったときには、既に勝負はついている、勝負をつけられてしまう場所が真の天王山なのである。相手が「あの山をどちらが確保するかが、天下の分け目」と、決死の覚悟でやってきたところに、余裕の守備陣を敷いて「もうウチらが取ってるケド?」と圧倒するのが上策に決まってるでしょう。

逆に「さあ決戦!」と、みんながよーいドンして本気で躍り出てきた後で、どうやって明確な差をつけるというのか。だから『ドリフターズ』の第六天魔王も「戦そのものはそれまでの結果だ」と言っていたのである。

常識に則って勝負していたら常識的な勝負人にしかなれないではないか。つまり皆が上策だと思っているという理由によって、それは既に上策ではないのである。従ってもし時代がこの戦略に追いついて「受験の天王山が夏だなんて既に古い!本当の勝負どころは春!これが天王山2.0!」とか叫びだしたら、我々が採るべき受験の天王山3.0は、さらに後退して冬ということになる。

そういうわけで、高校2年生は「さぁて、皆さんが『来年から本気出す!』とか寝ぼけているうちに勝負つけますか」と言ってさっさと本番レベル模試受けに行けばいいし、残念ながら不合格だった浪人生は、雪が溶けないうちに現役生に圧倒的な差をつけにいくのが、本当の戦略である。

まあ「夏は受験の天王山」というのは予備校のキャッチコピーであって、本音は「だから皆、夏期講習とってね♪」だし、彼らは秋にも冬にも「秋こそ基礎定着の最後のチャンス!」「冬のラストスパートで勝負が決まる……」とか勝手なこと言い出すのだから「結局おまえら、講習全部取れって言ってるだけじゃんかよぉ」というオチである。大人ってズルい。汚い。

受験生の皆さん、予備校を嫌いになっても大人を嫌いにならないでください。

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投稿日時: 2019/09/23 ― 最終更新: 2019/10/25
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