過去問がどれほど重要か

志望校の過去問を解くことがどれくらい重要かというと、銀行強盗が銀行の下見をするのと同じくらい重要である。

志望校の過去問は、その大学を受けたいと思った時点で、なるべく早めに解いた方がいい。何故なら、志望校の問題の特色や傾向がわかり、早くからそれに対応した勉強ができるようになるからである。それによって

入試本番までの全ての勉強の質が向上する

という現象が起きる。だから早く解くほど有利である。

例えば過去問で世界史の事件の意義を問う問題が出ていた場合、普段の学習から単に事件の顛末だけでなく、事件の背景や意義を考えるよう意識が働く。教科書に載っていることしか出さない大学と分かれば、教科書だけでいいんだと安心して学習を進められるし、難しい参考書はブックオフに売っていいことになる。

過去問を解くことによってこのような恩恵をタダ同然で受けられるのだが、受験勉強を始めた頃、これとは逆に「過去問は本番直前までとっておく」という意見を多く聞いたので驚いた。

直前演習は模試、または過去問数年分で十分

いや、気持ちは分からなくもないが、「演習用にとっておく」のはハッキリ言ってあまり意味がない。

本番直前に時間配分などの確認がしたいなら、解くのは冠模試があるなら模試、なければ「古い過去問数年分」で十分である。

模試の問題の質は確かに本番には劣るが、冠模試は形式や量をそっくり真似ているため、演習としてはそれで十分である。模試の過去問が本として販売されていない場合でも、ヤフオクやメルカリで実際の模試の冊子を入手することは可能。

もし志望校に冠模試がなく、過去問をいくらか残しておくとしても、最低でも直近数年分は早い時期から解いておかないと、問題傾向がつかめず大きく損をする可能性がある。

そもそも直前の本番形式の演習というのは、あくまで最後の確認や馴らしのために行うものであって、時間配分や戦略などは入試の何ヶ月も前から過去問を研究して固めておくべきである。

「過去問をとっておく」という心理には「直前にちゃんと解けることを知って安心したい」という心理もあるかもしれない。が、これは一種の錯誤ではないだろうか。直前に解いて出来が悪かったら、受験を取りやめるのだろうか。どっちみち受けるのなら「安心」しても仕方がないのではないだろうか。

過去問で早めに傾向を把握しないと致命的

過去問から傾向を直につかむことが、どれほど重要か。

例えば2010年頃の東大数学の確率問題では、漸化式を利用する問題がしょっちゅう出てきた。出題頻度を見てみると、明らかに偏りがある。しかし確率の漸化式問題というのは、一般的なバランスの良い演習ではそこまで頻出するものではないので、事前に漸化式が多いことを把握して専用の対策をしていた者が圧倒的に有利である。東大の問題の偏りは、世界史などでも顕著である。

対策を考える時期は早ければ早いほどいい。

特に難関大志望者は、遅くとも7月くらいには「志望校ではこの辺が頻出だ」というのを意識して、意識的に類題を多めに解き、理解もキッチリしておく。志望校で頻出と知れば、集中力も自ずと高まり、記憶しやすい。

実際、私は「東大で頻出」と認識していた範囲に関しては、意識が高まって自然と覚えることができ、全て早い時期から「得意範囲」としておくことができた(→「志望校の冠模試や過去問には、全然解けないうちからすぐ挑戦しよう」)。

これが1月下旬くらいだと、最悪手遅れで対策が間に合わない。対策が遅くて良いことなど1つもないのである。

過去問は、できるだけ早い時期に1つの「問題集」として解き、しっかり身につけておこう。これが私の提案である。

***

勉強の面白さを力説し、学びの意義を考え続ける受験コラム

『文客堂』の勉強記事のバックナンバーはこちら

LINEで送る
Pocket

投稿日時: 2019/09/23 ― 最終更新: 2019/12/06
同じテーマの記事を探す