図1:三田紀房『ドラゴン桜』10巻, 講談社, 2005年

東大受験の勉強を始めた後、数学の解答用紙を見て驚いた。「ただの白紙じゃないか!」。印刷ミスではない。数学の論述式試験というのはそういうものなのだ。ただ「解答用紙とは、沢山の枠がついているものだ」と思い込んでいた私には驚きであり、そして「白紙に必要なことを自由に書き込む」という、シンプルにして高等な感じのする解答の作り方にワクワクしたものだ。

さて、『ドラゴン桜』で東大数学の解答の仕方について柳が指導したのは「まず始めに、答案を二分割せよ」ということである(図2)。

数学とは論理的学問で、論理的である時美しい形となる。論理とは次へ次へと発展していくもの。それはイメージで言えば縦のつながりであり、横へ伸びていく感じではない。横に伸びていく詩の形をきれいには感じないように、数式も縦に降りていくのが自然で美しい。

真ん中に線を引いて大きい答案を二分割して、左から右へと縦に進むのがベストの答案だ。

『ドラゴン桜』10巻
図2:『ドラゴン桜』10巻

私もこの解答方法は実行していたし、模試会場を見渡す限り、二分割法を使っている生徒は結構いたと思う。

二分割法の利点

柳は「数学とは芸術なり!」とシャウトし「美しさ」という点から二分割法を薦めているが、まあ多分これはマンガの演出上のハッタリで、「解答用紙を無駄なく使い切れること」が一番の利点である。

というのも、特別な難問でなくとも、実は数学の解答用紙というのは調子に乗って図や数式をどんどん書き込んだり、厳密性を気にして細かく書くと、意外と不足しがちになるからだ(例えば鉄緑会の示す東大数学の模範解答には「これを全部書いたら明らかに解答用紙が足りないだろう」というものもある)。

かと言って最低限しか書かないと、逆に部分点を落とす可能性もある。そこで、あまり大きな字で書かない、単純な計算過程は問題用紙で行う、といった工夫はもちろんだが、解答用紙を二分割すると、自然と用紙全体を使い切れるようになるのだ。

それと柳も指摘しているように、数式の変形は縦に並べた方が視認性が良い。上と下でサッと数式を見比べられるので、単純なミスにも気づきやすくなる。

二分割法の欠点を克服する方法

分割法の欠点は何より、図表が細かくなってしまうことである。

そこで、最初は単純に二分割して書いていたのだが、途中から「変形二分割法」を使うようになった。これはまず最初、消そうと思えば消せるくらいの濃さで分割線を引き、図や表を書く時に線が邪魔になったら、その部分の分割線を書き直して、少し「くねった」分割線にしてスペースを割り当てるという方法だ。

また明らかに図表が活躍しそうな問題では「最初から分割しない」という方法もある。つまり普通に書くのである。例えば確率で総当り表を書いて解けるような問題である。

なお数学が得意な生徒でも、分割せずにパッと書いて完答する人も普通にいる。数学が異常に得意というレベルになれば、無駄がなくなり細かいテクは不要になるのかもしれない。

柳のその他のアドバイス

二分割法の後にも「全問解こうとするな」「問題を理解していることを示せ」「答えの道筋を示せ」といった、特別目新しくはないものの有益なアドバイスが載っている。欄外のマークを見る限り、どうも河合塾による監修があるようだ。というわけでこれらは普通に有効なテクニックなので、気になる人はマンガを読んで確認してもらいたい。

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投稿日時: 2019/07/03 ― 最終更新: 2019/11/13
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