図1:三田紀房『ドラゴン桜』3巻, 講談社, 2004年

『ドラゴン桜』3巻から登場する英語教師・川口はかなり型破りなキャラクターで、元ヤン弁護士の桜木ですら「大丈夫かこいつ?」とホンキで心配するほどだったが、彼が英語を苦手とする矢島らに示したのが「ビートルズで英語学習」だった。

生徒の前で突然半裸になった川口は、ラジカセでいきなりビートルズを流し、運動をしながら歌詞を口ずさむ。そしてビートルズを歌って英語を身につけるのは、かなり有効な学習方法だと解く(図2)。

そうなんだ!特にビートルズはほとんどが中学英語で理解できる。また歌詞が抽象的じゃなくストーリー仕立てになってるからわかりやすい。これらを分解すると結構よく使われて試験にも出る基礎的な熟語も多い。

『ドラゴン桜』3巻
図2:『ドラゴン桜』3巻

実際、川口の言うことは真実であり、歌を通して覚えることは最高の言語学習手段の1つと言える。

大学入学後に知り合った留学生は4ヶ国語を操ることができたが、彼女はとにかく他国の歌やドラマが大好きで、文法を覚える前からそれらをひたすら視たり聴いたりしていたという。語学に堪能な人間、特にスピーキング能力に優れた人は、多くがこのようにドラマや歌を利用して言語を身に着けているというのが、私の実感である。

歌こそが言語学習の王道

何故歌を聴くのが言語学習に最適なのか?実はそもそも「歌」というものが、学習の手段として作られたという背景がある。文字が存在していない時代や紙が高価だった時代、世界各地で吟遊詩人が歌を歌いながら英雄の物語を語ったのは、歌うこと自体が一種の記憶術だったからである。

歌はリズムを持っているため、言葉だけで記憶するより遙かに脳に定着しやすい。歌や音は、言語とは別分野を活用している可能性も高く、近年の脳科学実験では、外部からの刺激で意図的に言語機能を混乱させられた人でも「言葉は喋れないが歌は歌える」ことが分かったという。つまり歌を歌うことにより、言語の分野とは別の脳機能も利用して、同時に、効率的に言語をインプットできるという仮説だ。

また言うまでもなく、歌は楽しい。勉強は嫌いだが歌なら何時間でも聴いていられる、という人も多いだろう。しかもリスニングの勉強にもなってしまう。私の考えでは、歌を言語学習に用いない手はない。別に作中の川口のように、半裸でエアロビをする必要はないが。

なおよく言われることだが、歌によってはリズムを重視するため、倒置や省略をしており文法的に正しくないことがある。これは注意しておき、混乱しないようにしたい。

ちなみに私もビートルズは全アルバムを所持していて、半分くらいはレコードでも所持しているほどだが、学習のためのビートルズの歌なら前期(ベスト盤の赤盤収録くらいまで)のものが比較的オススメである。というのも、ビートルズは後期になるに従い芸術性が増して複雑・抽象的になっていくからだ。その点、前期は”love”を連呼するアイドルソングも多いので、比較的シンプルである。作中で出てきた”Please Please Me”もファースト・アルバム。

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投稿日時: 2019/07/02 ― 最終更新: 2019/09/26
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