図1: 三田紀房『ドラゴン桜』3巻, 講談社, 2004年

『ドラゴン桜』3巻を初めて読んだときに「オッ!」と思った勉強法が「問題解答同時プリント」だ。

これは柳が作成した特別性で、問題プリントと同時に解答プリントも配られ、受験生が解答を実際には書かず、頭の中だけで解法を思い浮かべて、その正誤を次々にチェックしていくというもの(図1)。

試験で最も重要なのはどのように解き始めるか!つまり問題攻略はスタートで決まる!(中略)これらの対策法として、問題を見て3分以内に頭の中で解き始めてスタートをイメージする。3分後すぐ答えを見る。解き始めが合っていればオッケー。問題はできたことにして次の問題へ……だめなら答えをじっくり読む。計算したり書いたりしなくていいから、短時間にたくさんの問題に触れられる。

『ドラゴン桜』3巻

解答をすぐ見るのは邪道か?

この演習方法に対し、恐らく伝統的な勉強方法を重んじる人は「邪道だ」と批判を飛ばすだろう。実際柳も「この方法では計算力はつかず、解答の書き方も学べない」と認めている。

しかしこの演習方法は、時間を効果的に使うには、極めて有効な手段である。数学だけでなく全教科で有効だし、実際に『ドラゴン桜』でもこの後、芥山が国語の勉強方法として同じことをしろと述べている。

というかハッキリ言って、忙しい現役生などは全ての問題を一々丁寧に問いていたら、演習の絶対量が不足するだろう。世界史や地理も論述演習が重要だが、あんなものまともに書いていたら、とんでもなく時間がかかるし、すぐ疲れて集中力が低下する。

むしろ大半の演習は書かずに済ませるべきだとすら言っていいし、その教科について全くの初心者であるなら、自分で考える部分すら飛ばしてひたすら問題と解答を「読んで」いくのも有効である(ただし数学に関しては、ある段階から書いていくことが必要となる)。

なお柳は「解き始め」の部分に拘っているが、可能な範囲で解答全体を大雑把にイメージし、また解法が合っていた場合でも、解答解説はある程度読む(特に別解)方が演習効果が上がると思う。

大事なのは「書くこと」より「学ぶこと」

そもそも「実際に書くこと」を重んじる考えは、「学習そのもの」よりも「学習態度」を重視している嫌いがある。重要なのは「問題を利用して何かを学ぶこと」ではないだろうか。問題と解法を見て「このパターンにはこう対処するのか」「こういう書き方があるのか」と学べれば、それで十分な勉強になるのだ。

逆に自分で解くことにこだわり、解法が分からずにウンウン唸ってても、時間ばかりが過ぎる。「自分で考えることが大切なんだ!」という批判はよく耳にするが、それも時と場合で、全く分からない問題の前でしかめっ面をしていても「下手の考え休むに似たり」状態になってしまう。思考を空転させるより「解法を見て、解法について思考する」方が有益である。解答の書き方を学んだり、計算練習をしたければ、そのための専用の演習をすれば済むはずだ。

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投稿日時: 2019/07/02 ― 最終更新: 2019/11/25
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