図1:三田紀房『ドラゴン桜』2巻, 講談社, 2004年

計算100問、漢字100問などの小テストを短時間で解かされ続けた水野らが発した疑問が「何でこんなに100問を短い時間で解かされるのか」である。それに対する桜木の回答は「東大の入試問題の伝統と傾向に合わせたトレーニング」というものであった。

そうだ……大学入試は全般的にその学校の校風が表れるものなんだ。例えば京大は問題数は少ないが格調高くアカデミック……とよくいわれる。この点から見ると東大は……基礎から応用と広範で分量も多い。これを制限時間でいかに効率良く解くか。つまりテンポ良くテキパキとこなす要領の良さが求められるのだ。

これをわかりやすく説明するキーワードとしては……。“事務処理能力の高さ……”とでも言おうか。

『ドラゴン桜』2巻

一方東大は、まず問題をサッと見て、解ける問題を瞬時に判断する。そしてテンポ良く解答し効率良く得点をする。いわゆる“要領の良さ”が最も重要なのだ。

『ドラゴン桜』2巻

桜木の述べていることは、ほぼ客観的な事実と言ってよく、的を射ていると言える。これは実際に東大・京大・阪大あたりの試験問題を比較すれば一目瞭然である。

制限時間の厳しい東大入試

東大の問題というのは国語以外、どの科目も制限時間に対して量が半端なく、問題自体も決して易しくない。受験生にとっては全問まともに解答すること自体が困難であり、むしろ全問に対してまともに取り組めるくらいの実力があれば、その人の実力は既に合格圏内にあると言っていい。

取り分け英語の制限時間の厳しさは有名で、A判定の実力を持っていても本番で全問解き切るのはシビアである。難度も年々増しており、20年くらい前の問題なら普通に解き切れるのだが、最近の問題は1問あたりの難度も上昇しており、とにかく素早く正確に読むことが求められる。あまりにもセンター英語と難度が違い過ぎるので、東大英語に対応した人なら、センター英語は半分強くらいの時間で完答できるようになるだろう。

短時間での簡潔な論述が求められる

もう1つ厄介なのは全ての論述問題で、簡潔かつポイントを抑えた記述が求められることである。桜木は指摘していないが、むしろこれこそが東大入試最大の特徴とも言える。

東大の入試問題は、他大学のそれに比べ、論述の文字数制限が非常に厳しい。他大学の「200字で述べよ」といった巨大な問題は、スケール感はあるが、逆に言えば知っていることを連ねて部分点の獲得はできるし、時間配分も自分で調整しやすい。

一方、東大は他大学が「90字で述べよ」と要求するような問題を「60字で述べよ」と要求し、そういった問題を何問も並べてくる。一般的な入試問題に比べて、解答欄が明らかに狭いのだ(古典・地理で顕著)。

冗長な表現では文字数オーバーするし、簡略過ぎると点を落とすので、「言いたいことを漢字2文字に要約できる言葉」のストックなどが重要になる。「テンポ良く、しかし濃密に」という2つの要素を求めるのが東大なのだ。

例えば漢文で「Aさんはお金持ちになり、名声も得たということ」といったことを表現したい場合、そのままでは文字数オーバーは必至なので「Aさんは栄達したということ」のように短縮する必要がある。しかもこれを厳しい制限時間の中で次々に繰り出さねばならない。これが東大入試の厄介なところなのである。

ただ別に「文章力」と言われるほどのものが求められるわけではなく、問題のパターンごとに簡潔な言い方のストックを蓄えれば十分対処できる。要するに暗記と演習の問題であり、模範解答や教科書の記述をひたすら真似すればよく、「文章書くの苦手だから……」と恐れる必要はないのだ。例えば先程使用した「栄達」は漢文の人物描写で非常に使いやすい表現であり、利用する場面の多い熟語である。文系は、こういうのをひたすら使えるようにしていく必要がある。

【勉強】カテゴリーの記事一覧

LINEで送る
Pocket

投稿日時: 2019/06/27 ― 最終更新: 2019/11/13
同じテーマの記事を探す