投稿日時:2018/10/20 ― 最終更新:2018/10/21

蔵書が増え過ぎてどうしようもなくなった読書家とか、回収業者のトラックを泣きながら見送ったエピソードとか、そういった話が増えている気がする。気がするというだけで別に統計データは示せないが、物を有難がる時代から、意思さえあればいくらでも保有できる時代になってから20年以上は経ち、世帯あたりの居住スペースが狭い日本では、今後も蔵書の肥大が読書家の大きな課題として立ちはだかるだろう。ブックオフは罪深い存在である。

この問題は、読書生活自体を大きく転換しない限り解決が困難である。増えた分は土地や建物を追加して所蔵するというのは完全な泥縄で、単なる問題の先送りに過ぎない。むしろ問題がますます大きくなるので事態が悪化する。何故なら読書家は結局、本を買うことを止められないからである。ここまで集めたら満足、という地平は読書家の眼に映る蜃気楼でそんなものは実在しない。だから蔵書でそのまま古本屋を開業するとか、拡張方向の対策は全て失敗に終わると思う。

蔵書の山が崩れてきて圧死するとか、買った本を限界まで溜め込んだ挙げ句に泣く泣く大量処分するというのは、自分がそれだけ本を読んでいたのに、そんな必然の問題も回避できない程度の知恵しか身につかなかったことを自ら証明しているようで、絶対に避けたい。これでは完全なる知性の敗北ではないか。そんな失態を晒すと、以後二度と「本を読むと頭が良くなる」とか偉そうに言えなくなる。自分自身が反例になってしまう。降りかかる蔵書は愚か者への知の鉄槌である。

さて、肥大化する蔵書へのドラスティックな解決方法は、ざっと4種類くらい考えられよう。

  1. 電子書籍を買う
    一番現実的なやり方だと思う。私はこれを採用している。ただしKindleとかはDRMがうざいので自炊している。自炊だと中古でも問題なくて実は安上がり。別に完全に全てを電子化する必要もないので、全集など背表紙が美しい本、目に見えるところに置いて頻繁に読み返したい本だけを現物として所持している。
  2. オンデマンドに頼る
    Kindle Unlimitedなどのサービスの拡充により、将来的には大部分の書籍を必要に応じてダウンロード可能になるかもしれない。NetflixやHuluのような強力なオンデマンドサービスが本にもやってくれば、蔵書を処分することにもそれほどの抵抗感は生まれないだろう。ただし現時点では有力なサービスがない。それとマンガのようなコンテンツは、短時間で大量に読まれるのでサービス側の負担が大きく配信が難しいらしい。
  3. ネットカフェや図書館こそが自分の書棚だと嘯く
    別名コミュニスト宣言。家のすぐ近くに大型店舗があるならいいかも。ただ金はかかるし、好きな時に読むこともできない。ジュンク堂のような立ち読み、座り読み公認の本屋を利用する手もある。
  4. 棚を破壊する
    棚を増やせなければ売るしかない。もちろん床の上に積むというトンチだか自殺だか分からない行為は自らの首を締めるだけである。一般人は自然と実行しているはずのルールだが、これができないのが読書家なので難しいか。

現実には1-4を適度に混ぜるのが良いのではないだろうか。

紙育ちの人間は電子書籍に強い抵抗感を抱くが、その圧倒的な利便性は電子の欠点を補ってあまりある。特に棚が常に整理されていて、散らからないのが良い。物が安く手に入る時代だからこそ、電子という半無限のアーカイブが強みを発揮する。というか四の五の言ってられないので、本を買い続けたければ利用するしかない。

いずれにせよ、カタストロフが訪れる前に対処するのが吉である。いつか聞いた本の山で家の床が抜けた話は真実なのだろうか。未だに時々気になっている。

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