日清カップヌードルに加わった新たな主力商品「トムヤムクンヌードル」をご存知だろうか。この商品、当初はよくある季節モノ、限定モノの一種として発売されたはずだが、異常なほどの人気を誇り当初から品薄気味だった。例えばAmazonのレビュー数でも、2019年9月現在での600個超というのは、無印に匹敵するほどの例外的な多さである。

そして現在では1年中、どんなスーパーへ行っても大抵揃えてあり、無印やカレーに続く新たなスタンダードの地位を確たるものにしつつある。カップヌードルの長き歴史において、これほどの定着ぶりを見せる商品の出現はまさに画期と言えよう。

トムヤムクンが新たなスタンダードとなれる根拠

なぜ、トムヤムクン味はカップヌードルの新スタンダードになり得るのか?それは、この新商品が無印カップヌードルの良さを継承しつつも、これまでの商品が抱えていた「油っこさ」「舌にこびりつくようなしつこさ」といった欠点を克服しているからなのだ。

私は「月収1億円あってもインスタント食品を食べる」と公言している人間なのだが(夜型だから)、カップヌードルを毎日食べるのは、無印もシーフードもカレーも、結構キツイ。味がしつこくて飽きる。2日連続で食べてしまうと「しばらくいいかな」と思ってしまう。

これは食品としては、実は致命的な欠陥といえる。なぜ食卓には、毎日ご飯やパンが並ぶのか。それは、ご飯やパンは毎日食べていても、そうは飽きないからである(他の食品の触媒としても機能する)。毎日食べられること、それは食品がスタンダードになるための必要条件である。

トムヤムクン味の真価は「毎日食べられる」ことにある。「毎日食べられるカップヌードル」だから、スタンダードになり得る。

カップヌードル伝説継承のカギは「エビ」にある

「毎日食べられる」味自体は以前にもあった。そういう商品で出来の良いものは準レギュラーになっていく。ところが「塩」や「チリトマト」は、あっさり味だから毎日食べられるというのが事実であった。それはカップヌードルからのある種の逸脱であり、あの濃い味を継承していない限り「カップヌードル 2.0」とは呼べない。塩やチリトマトは、カップヌードル風の別商品と見なしたい。

ところがトムヤムクンは「毎日食べられる」のに「カップヌードルしている」のである。これが革命的。

殊に「エビ」という具を無印から継承しているのが決定的である。最初のカップヌードルでは「豪華さを感じられる」「日本人は海老が大好き」という理由から「エビ」を具材に採用することになり、これが無印カップヌードルのウリであった。日清は「エビ」を武器に、カップ麺というフロンティアにおける全面戦争を征したのである。

公式サイトの「誕生秘話と歴史」に書いてあったのだが、リンク切れなのでWikipediaから引用しよう。

日本向け製品に、伝統的に小さな剥きエビを採用したのは、製品開発当時に豪華さが感じられる食材として、真っ先にエビが挙げられ、採用されたという逸話があり、60種を超える世界各国のエビの剥き身をフリーズドライ化して試した結果、インド洋沖で獲れるプーバランという、当時の日本にはほとんど輸入されていなかった高級食材種が採用された。

Wikipedia

つまり「エビ」こそは、カップヌードル伝説の痕跡であり、王者の印であり、乾燥麺に突き刺さりし聖剣エクスカリバーである。その「エビ」を無印から受け継いだということは、王冠の継承、トムヤムクンこそがカップヌードル伝説の正当なる後継麺であることの証左に他ならない。実に「エビ」を受け継ぐことこそが、新たな時代の真のカップヌードルたるための十分条件だったのだ。

以上のような理由から、トムヤムクンヌードルは21世紀カップヌードルの新スタンダードであり、無印の血統を受け継ぐ正当なるブラッドラインであると結論付けられる。

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投稿日時: 2019/09/25 ― 最終更新: 2019/10/08
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