投稿日時:2019/03/09 ― 最終更新:2019/03/10

小さい頃から「ごく一部のマニアしか寄り付かない古本屋で、好きな書物に囲まれて暮らす余生」に憧れていた。そんな私の最近の趣味は、客のいない我がサイトで書きたいことを書き放題にすることである。あの日、そうあの3月7日も、そんな閑散としたWebサイトの主として、無人のサーバの片隅で悦に入り、悠々と90年代作品について熱弁を振るう1日になるはずだった。はずだった。ところが「Z版ブロリーの戦闘の「散歩感」と、ブロリー殺害事件の動揺」をアップしたときの私は、その後あんな恐ろしいことになるなんて、知る由もなかったのである……

昼間にGoogle Analyticsのリアルタイム解析に目を通した私は、そこで”157″というとんでもない数字(数分以内に157人のアクセス)を視界に入れていたのだが、あまりにも想定外過ぎて脳が事態を把握できず、無視してコーヒーを飲んだ。例えばあなたも、早朝の出会い頭に、長年片思いしている相手から出し抜けに「おはよう、セックスしない?」と言われたら、脳の機能が現実認識に追従できず「おはよう、うん、イッツ・シックス・オクロック」などと、トンチンカンなレスポンスをせざるを得ないだろう。それほど、私にとってガラガラの我がサイトは見慣れたものであり、桁外れの訪問が起こっていることなど全く予期していなかった。

私はしばらく虚空をほげ~っと見つめてから、モニターを5度見した。アクセス解析が壊れたのかと真剣に疑ったが、調べてみるとどうもgoogleapis.comというリファラーは、モバイル版Chromeのトップページのニュース記事として掲載されたことを示すらしい。

一体どんな理由で天下のGoogleが、こんなマイナーサイトに目をつけたのかは不明だが、まるでGoogleマップのミスで観光地にされてしまった個人商店のように、突如として人が、怒涛のように押し寄せた。その数、1日でおよそ7,000人にも及んだのである。アクセス数の折れ線グラフが、天井を突き破らんほどの鋭角を描いた。

私は、むしろ恐縮した。文客堂のようなマイナーな話題にばかり執着する、山深い、最果ての言論空間をネットの海から探り出すほどの方々は、既にこの世のあらゆる娯楽をしゃぶり尽くし、それでも何か面白いことはないかと彷徨い歩く仙人に違いないと想定していた。そのため、このサイトには一般の方々の興味を引くような現在の話題が全然ないが、それでも仙人相手の商売(?)だからいいだろうと、高をくくっていた。

ところが、この混雑である。私はスロットマシーンのように高速でジャラジャラと回転する訪問客数を前にして、喜び半分、申し訳なさ半分であった。数字が回るたびに、心の中で身体を45度に傾斜させた。皆様の貴重なランチタイムに目を通すようなものなどないサイトですが……!最新の情報を追求する方々にはつまらない、日陰の話題ばかりでして……!訪問客の皆さんはついぞ知ることもなかったろうが、私はずっと、モニターの前でお辞儀をしていたのである。

ところでこの事件には1つ可笑しな顛末があって、当の運営者である私が、自分のサイトがChromeに掲載されているのを全然発見できなかったのである。普段はニュースの表示を切ってしまっているし、カスタマイズも全然していなかったので、芸能ニュースばかり表示されてしまい悪戦苦闘した。結局、私が自分の記事を発見したのは翌日のことである。

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