投稿日時:2018/12/22 ― 最終更新:2018/12/23

君にこの貧困を伝えたい。安くて不味い飯をたらふく食う、飽食の貧困を。東大の飯は不味いのさ。有名大学の食堂は美味いはずだろうって?それは学生を顧客として優遇して、授業料をたんまり受け取る私立大学の話だよ。東大飯といえば箔が付くが、単に大学生協の出す飯だ。この間テレビのリポーターが美味い美味いと有難がっていたけど、まあ彼らのリアクションを真に受ける純朴な人は今日では珍しいだろう。やつら、カメラさえ回っていれば犬の糞を盛っても満面の笑みで平らげるに決まっているのだ。今度隙を見て試してごらんよ。

さあ、食堂に入ってみよう。場所だけは広くて綺麗な空間なんだけどね。以前はなんとも辛気臭い場所だったが、僕が本郷へ進学してきた年に建て替えたから、とても綺麗なんだ。古いものを一掃するついでに、価値ある絵画も燃やしてちょっとした騒ぎになったけど。最近流行りのヴァンダリズム・アートというやつかな。いや、ちょっと違うか?

今日は期間限定メニュー「とんこつラーメン」を食べてみようかな。ちなみに昼飯には麺類を頼まない方がいい。なんでかっていうと、学生と観光客でごった返してレジに長蛇の列ができて待たされるから、会計前に麺がのび、スープが冷めてしまうからなんだ。会計システムにも問題があって、観光客と生協組合員を区別するために、一々組合証を提示するからレジの進行が遅れるのさ。 観光客の少ない駒場キャンパスでは問題なかったんだけどね。

席はこの辺がいいかな。昼時以外はキャパシティに余裕があるから、座る場所には困らない。セルフサービスのお茶はなかなか美味しいよ。欲を言えば調味料やソースにもう少しバリエーションが欲しいところだね。

では「とんこつラーメン」いただきますっ……ズズッ、ズッ、ズッ…。うーん、なんと言えばいいんだろう。このラーメンは虚しいよ。麺とスープがまるで絡んでいない。麺とスープは、言うなれば離れ離れになっていた恋人たちのようなもの。それを丼の上で再会させるのがラーメンなのだけど、このラーメンは全てが実にバラバラで、卒業まで永遠に未開封のラブレターを突き返され続けるヤマなしオチなしの不条理ラブストーリーのような虚しさを醸し出している。

ラーメンはそもそも、罪深い食べ物だ。健康ブームの世の中に逆行するかの如く身体を破壊してしまう反骨の麺類だ。それほどの犠牲を払って味合うものがこれでは、誰も彼もが救われない。この哀しい「とんこつラーメン」を前にして僕ができることは、一口食べただけの器をベルトコンベアーに乗せて去るという、無言のクレームだけさ。

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