マリオと無限性、オメガポイントの夢

2021/09/12 ・ 雑記 ・ By 秋山俊

また見つかった

何が? 永遠が

TIMEときと共に溶けていった亀

ルイージ・L・ランボー「永遠」
ヘッダーと動画は「スーパーマリオブラザーズ」

宇宙終焉のモデルとして、ビッグバンの逆再生としての「ビッグクランチ仮説」を採用する場合、膨張した宇宙は、最終的には膨張の反動で一点に向かって収縮を開始し、始まりの宇宙へと回帰していく。

このビッグクランチを利用して、永遠に持続する文明を生み出せないか?というのが、フランク・ティプラーの「オメガポイント理論」である。10代の頃にこの考えを耳にしたときは、むやみに空想が膨らんだものだ。

簡単に説明しよう。宇宙の残り時間が仮に1年だとする。ビッグクランチの収縮で密になるエネルギーを取り出すことで、たとえば機械化・デジタル化された人類の思考クロックを2倍にアップする。

すると思考が2倍になっているから、「主観時間」においては、残り1年はそれまでの2年に相当する。「主観時間」で1年が経過する。そしてさらに急激に収縮する宇宙からエネルギーを取り出して思考クロックを上げ、残りを2年にする……こうして「客観時間」における1年は、主観上は無限に延長され、ビッグクランチは「永遠に到達しない夢」としてどこまでも遠ざけられる。

あたかもアキレスと亀……いや、マリオと亀のような関係だ。

ジャンプの反動で無限に蹴り飛ばされる亀によって、マリオは半永久に1UPし続けることができる。TIMEは減り続ける。ワルツの永久運動は、終局から無限のエネルギーを抽出する。

しかしこの2人の場合、現世においてその存続は永遠のものではない。TIMEの0へのカウントダウン、すなわち「到達されてしまったビッグクランチ」という破局によって、2人の関係は突然の終わりを迎え、織姫と彦星のように離れ離れになってしまう。

しかし亀はマリオに託していた。無限の命を。再会のための無数の祈りを。マリオもまた託していた。永遠の待機を。循環する世界での永久の逢瀬を。

マリオと亀は再び出会う。ワルツは再開される。2人は踊り続ける。終局を超えた輪廻の無限性。

「終末の果てにある消失の一瞬、それこそが永遠なんだ」
「もし生まれ変わって新しい宇宙が始まるとしたら、その時もきっと、私を見つけ出してください」

スタンプと1UPの心地よいメロディを奏でながら、配管工と亀は、崩れゆく世界の上でステップを踏み、無限の先に待つ終局の夢を見ている。

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初版:2021/09/12

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