金は貸さなくていい

2020/07/28 ・ 雑記 ・ By 秋山俊
Balcomb Greene, Champs de Mars

金の貸し借りはなぜ人間関係を破壊するのか

「こちらが“貸してやった立場”のはずなのに、その後いつ返すかの選択権が“借りた側”に渡ってしまう」というアンバランスが原因。

どのような取引や駆け引きであれ、基本的に選択権というのは優位な側が持つべきである。あるいは、優位というのは選択権を持っている者のことである。しかしながらこの場合、選択権が恩義を受けた側に移動してしまう。

そのため貸した側が、相手がいつ返すか、本当に返すかを考えてストレスを感じなければならない。これは健全な関係ではない。健全でない状態が続くとその関係は維持できなくなる。

「○○円くらいでカッカするな」と言う第三者がたまにいるが、ここで問題になるのは多くの場合、金額の多寡よりかも「借りた相手が、現金を受け取った途端にあぐらをかいて無責任になる」ことで受ける心理的なストレスである。「ナメられるストレス」と言ってもいい。したがって額が5,000円だろうと10,000円だろうと、自分の年収が1,000万円あろうと、ムカつくものはムカつくのである。

金はなぜ返って来ないのか

金を借りるような人間は自己管理が苦手であり、またそもそも金欠だから金を借りているのであって、返すための金を作ることができない。金を借りた以上、いつ返すかの選択権は実質的に借りた側が握るので、返却の優先順位は最後尾に立たされていると考えた方が良い。さらに言えば、相手が借金しているのが自分からだけとは限らない。

なぜ金を貸さなくていいのか

「トラブルになるから貸しません」「お金の貸し借りはしない主義です」と答えた場合、相手の反応は大きく2パターンあり、そのいずれも、貸さないことで損をしないからである。

ケース1:相手が誠実に対応して引き下がった場合

まともに人間関係を考える能力がある相手なら「金を貸してくれるよう頼む」という行為が、いかにリスキーかつ迷惑な行為かを把握しているはずである。あるいは上記のような事態になることを説明すれば理解できるだろう。そしてあなたが大切な友人であれば、「無茶を言って申し訳なかった」と言い、相手はむしろ負い目を感じるだろう。

またそのように誠実に対応する人間こそが、長く付き合っていける友人である。これによってあなたは相手の誠実さを知ることができる。この展開であなたは何も損をしない。

ケース2:相手があなたを恨んだ場合

以上のような事情を踏まえた上でなお、逆恨みをするヤツは図々しいクソヤローか、単なるチンピラなので関係を切った方が良く、金を貸さなかったことで自然に切れる方向へ向かう。これはあなたにとって得である。

金を貸さない人間は立派である

以上のことを考えると、金を貸さないことは、人間関係を健全に保つための“善い行動”であると言える。

『ハムレット』のポローニアスも「金は借りてもいけず、貸してもいけず。貸せば金を失い、あわせて友も失う。借りれば、倹約がバカらしくなる」と教訓を述べている。

助ける必要がある場合

金を貸すのではなく、くれてやることで「返されないストレス」からは解放される。その後の相手の振る舞いを見て今後の付き合い方を考えれば良い。

あるいは質屋のように、金目のモノを預かっておくなど、相手が返さなかった場合に強制的に何らかの「取り立て」ができる契約を作っておくと、選択権を完全には渡さずに済むので問題が起きにくい。

断りにくい場合

金はないとか、女房に管理されているとか、定番のエクスキューズはいくつかある。あるいは、現金さえ渡す前ならこちらに選択権がある(=相手にどんな条件でも振れる)ので、いくらでも手段はあると思うが、いくつか例を出すと

  • 「明日まで考えさせて」と言って別れた後で「やっぱ無理」という5文字を送る。テキストの方がずっと気楽である
  • 「親父はものすごい厳しい人で“他人にはどんなことがあっても、絶対金を貸すな”と言われてきた。もし借りたいなら、君が直接話して説得してくれないか」といった感じの無茶振りをする。もし何かの間違いで相手が本当に説得に乗り出したら、もちろん、説得している間に遁走すればいいのである。

テキスト系記事の一覧

LINEで送る
Pocket

投稿: 2020/07/28 ― 更新: 2020/09/04
同じテーマの記事を探す
関連記事
コンテンツ
文客堂について