“ことば”の質量は保存されている

2020/07/25 ・ 雑記 ・ By 秋山俊
Lothar Charoux. Serigrafia x/75

同一表現内においては、“ことば”の質量は保存されている。

文語でも口語でも、短い文ほど“ことば”の質量がぐっと凝縮され、力強い表現になる。同様の法則によって、長い文ほど“ことば”の質量が拡散してしまい、弱い表現になる。言葉の彫琢とは、要するに質量の圧縮作業だ。

ところが世の中には、文が長く、言葉が多いほど沢山のことを伝えられるはずだという誤解が溢れていて、だから広告とかサムネイルとかに、コンテンツ製作者は大量のワードを盛り込む。しかし結局、“ことば”の質量は保存されているので、長い言葉は、ヨーグルトの中に混ぜられた少量の砂糖のように、1つ1つの力が弱まり感じることができなくなってしまう。

だから話すときも「ゆっくり歯切れよく喋った方が説得力が増す」というのは、この“ことば”の性質を考えると自然な結論となる。しかしそこはやはり人間の悲しい性で、伝えたいことが多い人間ほど忙しなく喋って、かえって伝えることができなくなってしまう。

こんなことを書いている私も失敗ばかりしている。

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投稿: 2020/07/25
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