2021年12月11日 / 夕陽と終末

2021/12/11 ・ 日記 ・ By 秋山俊

夕陽が落ちる直前の、空の重たいグラデーションが好きだ。天辺は黒に近い青色で、地上へ向けて明るく色が変化していく。

日没の不気味な鮮やかさは、まるで世界の破滅のようだ。1日のサイクル、人間の起床と睡眠、それらは人生の暗喩なのだという考えが、幼少期からずっと私を支配している。

私は眠り、起きることによって、毎日死んで毎日蘇る。それと同様に、日没と共に世界はいくども破滅する。私は数え切れないほどの世界の破滅に立ち会う。現実に物質的に破滅しなかったとしても、日没は確かに破滅に似た感動と郷愁を心の中に沸き立たせる。その瞬間は本当に美しく、この世界に生きていて良かったと心から思う数少ない瞬間の一つだ。破滅がもつ破壊性だけを取り除いて、終末の愉悦だけを味わうこと。

夕陽があんなに鮮やかなのに、それが落ちた後の空の黒はなんとも重苦しい。日没直後の空の黒と、深夜に広がる空の黒はなんだか違うものだ。日没直後の黒は、夕焼けという祝祭が終わったあとに来る通夜の黒色だという気がする。なんとももの悲しく、そして不気味な終末の黒色だ。

その一方で深夜の黒はなんだかスッキリしていて、広々としている。朝日の到来を待望しながらも、同時に、いつまでも静かな夜が終わらないことを念じ続けるはじまりの漆黒。

玉くしげ明けまく惜しき可惜夜あたらよを衣手離れてひとりかも寝む

詠み人知らず
『新古今和歌集』巻第十五 恋歌五

初版:2021/12/11 ―― 改訂: 2022/01/07

同じテーマの記事を探す