文学史における盗作騒動、すなわち「パクリ」を網羅した本である。 私はこの手の本が、単なるゴシップだとは思わない。そもそも「創作」というのは己惚れであって、厳密に言えば創造とは巧みなる剽窃に過ぎないからだ。究極的には日本語 […]
SF作家・伊藤計劃の、既に閉鎖したWebサイトに載せていた映画時評集。評論の内容は異常に濃い。これを超える映画評論集は『押井守の映画50年50本』くらいである。 90年代後半~2000年代前半までの有名作品に限っているの […]
2009年に夭折したSF作家、伊藤計劃の運営していたBlog記事を集成したもの。彼の代表作は『虐殺器官』『ハーモニー』など。Blogは現在でもはてなで読める。 内容はほぼ「映画と近況」で占められている。その映画評だが、ハ […]
戦後詩批判の書。体裁上は真面目な本であり、寺山の提起する「直接の詩」という理念など、内容もいいのだが、寺山修司が語ることによって「文学の大泥棒が泥棒行為を嘆く」というユーモラスな書に脱構築されている。 寺山修司という男 […]
いわゆる「ホームページ」時代のWeb日記を書籍化したもの。オリジナルの日記は現在でも保存されており、ネットで読める。 この本の特徴は 著者が自殺して日記が終了している 著者が一般人である 著者がかなりヘビーな多読家である […]
三島由紀夫は小説家であると同時に映画人であり、自作が数多く映画化された他にも、自分自身が俳優・監督として、クリエイターとして映画に携わることを志向し、『からっ風野郎』『憂国』『人斬り』などの映画作品に出演・監督した。 三 […]
手塚治虫が自ら執筆した、唯一の自伝(活字)である。多忙なマンガ家の自伝というのは、表向きのクレジットとは違って、実際の書き手は本人ではないことが多いが、手塚の性格を考えると全てを自分でやりたがったはずであり、おそらくこれ […]
私は次のように答えました。「寝なくていいですよ。むしろ寝た方が病気のリスクが高まります。無理に寝ようとしないでください。」 堀大輔『睡眠の常識はウソだらけ』 世の中に流布する、まことしやかで、硬直的で、脅迫的な「睡眠常識 […]
「本を十分に理解したと言うには、どれくらい読めばいいのか」 これは読書についての永遠の問いだが、1つの指標として、「その本からどれだけ自在に引用できるかで、どの程度自分のものにできているかが分かる」というのを挙げたいと思 […]
映画と小説は対立するか 映画と小説は20世紀から常に1つの競合相手とみなされてきたが、三島は「映画と小説は二律背反」だと語る。以下の引用は「人間」昭和26年5月号に掲載された吉村公三郎、渋谷実、爪生忠夫たちと三島由紀夫の […]
「『草枕』を読むグレン・グールド」というフレーズが、なぜこれほど面白いかというと、グールドという人は世俗を超越した「謎のピアニストであり思想家」で、死ぬまでの15年間も傍らに置いていた『草枕』がその思想を読み解く「鍵」に […]
価格が一万円以上するし、辞書かと思うほど分厚くてデカイので、映画好きの友人を自宅に呼んでビビらせる(そしてヤバめの映画オタク認定されて二度とやってこない)には十分なインパクトがある。 この本は『勝手にしやがれ』から『ウィ […]
『本棚が見たい!』というタイトルから「本棚本」だろうと勘違いする。しかし実は本棚は1人あたり見開き2ページのみの掲載で、しかも写真1枚なので、全体像があまり分からない。本棚というより、連なった背表紙の写真に近い。 つまり […]
マンガ家の浦沢直樹や、人形作家の四谷シモンといった著名人の「机」そのものを紹介しつつ、仕事術などについて軽くインタビューした本。写真中心ながら104ページで、薄い。 面白いと思ったのは箭内道彦の仕事術。彼は机を持たない主 […]
最近、ヌーヴェル・ヴァーグの象徴であった人物たちが立て続けに死去している。アニエス・ヴァルダ、アンナ・カリーナ。運動の中心にいたゴダールも、もう90歳であり、本当にいつ訃報が飛び込んできても全く不思議ではない。 『イメー […]
升田幸三が豪傑だというのは真実なのだけれども、升田幸三が人智を超えた大豪傑だというのは、いささか誇張が入っているのであって、しかし升田は自身をいつもそのように語るのである。 だから、私は升田が好きだし、彼は言葉の妙という […]
淀川長治への印象変遷 日曜洋画劇場で育った世代で、小学生の時はまだ淀川長治が存命中だったので、当然私も彼の語りには親しんでいた。とにかく映画のことなら何でも知っていて、毎週TVに出てくる映画界の黒柳徹子だと思っていたし、 […]
私にとって読書は、広い意味での娯楽です。読んでいて楽しくなければ意味がないのです。そして楽しくさえあれば、なんの役に立たなくたっていいと思っています。 林望『役に立たない読書』集英社, 2017年, p.17 齋藤孝のよ […]
この本は、ごく大まかに言って、ふたつのことを書いている。ひとつは、文字に書かれたものを軽々しく信じるまい、ということであり、もうひとつは、書かれたものへの軽信から私たちが常に免れているための手だては、すぐれた本を愛読する […]
「論破」は、ひろゆきのトークを語る際に必ずついて回るキーワードである。彼が討論に出てくるとき、視聴者の多くは、彼が痛快に「論破」してくれるシーンを期待する。そのためタイトルが『論破力』となっていることは理解できる。むしろ […]
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