投稿日時:2019/06/03 ― 最終更新:2019/06/04

『進撃の巨人』通算55話、第3期通算18話「白夜」の感想と考察。

テキスト版

個人的にはジャンとハンジの、ライナーを殺し損ねる場面でのやり取りがすごい人間臭いなと思っていて。味のある演出だと。ジャンは理屈で「ライナーを殺すべきでない理由」を並べるんですけど、実はジャン自身が、自分が言い訳をしているという事実に気付いていて。理屈を自分で後付けしていて(合理化)。大体、ライナーに雷槍を打ち込む際に、周囲に発破かけたのはジャンじゃないですか。だから彼の言動は矛盾に満ちているんです。で、ハンジは「君のは判断材料、判断したのは私」って言うんですけど、これもジャンへの慰めというか。

結局ハンジも、本心ではライナーを殺したくないから、非情な殺人を先延ばしにしたいから、ジャンのゴタクを受け入れてしまう。つまりここでは、ハンジとジャンの一種の共犯関係が成立しているんですよ。これって直前のエルヴィンとリヴァイの関係にちょっと似てて。あの場面でエルヴィンも、リヴァイに背中を押されるのを待っていたと思うんです。だから最後に「(決断を後押ししてくれて)ありがとう」と。進撃の「ありがとう」はなんか、どれも切ないですね。

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この話のクライマックスは当然、エルヴィンとアルミンのどちらを生かすかっていう「究極の選択」ですよね。で、僕はずっとエルヴィンって、アルミンの精神的な師匠だと思っていて。これはWebサイトの方にも、アルミンの「捨て身の哲学」の考察として載せたばかりなんですけど。

『進撃の巨人』では繰り返し「何かを得るためには何かを捨てなければならない」という考え方が描かれており、主人公たちは常に何かを切り捨てながら「変革」を成し遂げていく。物語開

つまりアルミンは、大切なものを捨てて強さを得るエルヴィンを手本にしていたと思うんです。二人とも調査兵団の切れ者で、頭脳ではトップ2だから。だけどエルヴィンは長い戦いの中で、あまりにも多くのものを捨て過ぎて「悪魔」になってしまった。人は大切なものを捨てすぎると、人でなくなってしまう。エルヴィンの背後に大勢の亡霊が浮かんでましたよね。あの時点でも限界だったのに、リヴァイは「さらに捨てろ」と言ってしまった。彼をさらに人間から遠ざけた。リヴァイがアルミンを選んだのには、それへの罪滅ぼしの意味もあるでしょう。エルヴィンは「人」としてはもう限界だったから、アルミンにバトンタッチすべきというリヴァイの判断は、僕は間違ってなかったと思うんです。

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冒頭の兄弟の対面でジークが「おまえは父親に洗脳されている」って言うんですけど、ここでのエレンの「洗脳」には2つの意味があると思っていて、1つは単に父親から受けた性格的な影響で、自由を求めて解放のために戦うんだ、という思想的な「洗脳」。もう1つは父親の記憶を継承したことによる、人格形成の根幹における「洗脳」。アニメだとまだ出てきてないのでボカしますが、本編だとこの後に記憶継承による人格の変異というものが描かれていて、作者の方がこの時点でそこまで計算してこのセリフを喋らせているかは不明ですけど、ジークは後者の意味を込めてこのセリフを喋っている気がする。で、二人が思想的にどれだけ分かり会えるかは本編でもまだ決着ついてないですけど、エレンの思想は継承による根本的なものがあるから、多分二人は分かり会えないんじゃないかなと。

BACK: 3期 2-5話「勇者」感想・考察

動画版

  • 00:03 ジャンとハンジの「共犯関係」
  • 01:20 「究極の選択」による救済と継承
  • 02:57 エレンの「洗脳」とは
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